あん、あん。あん。私ってこんなにテンプレートみたいな喘ぎ声出せるんだ。激しい前後運動の中、体は痺れて熱いのに頭はえらく冷めている。ラブホテルの天井は低い。下品な色の照明は消してくれと頼んだのに許してもらえなかった。あ、沖田くんってまつげ長い。苦しそうな沖田くん、可愛い顔した沖田くん、グロテスクな性欲をもてあます沖田くん。ぎらぎらした目で私を見る沖田くんが、きゅっと結んだ口から時々声を漏らす。ねえ、私あんたのことこんなにも大事に思っているのになんで世の中ってものはうまくいかないのかな。



「沖田くんってセックスうまいの?」

「…お前が一番知ってんじゃねえの」

「あはは、そっか、私が沖田くんの初めての相手だもんねウケるね」

「ウケねえよ」



セックスの後の沖田くんは冷たい(体も、態度もだ)。男の人って精子出すと熱も抜けるのかな。沖田くんの熱はゴムの中か。それはそれで面白いなあ。私が一人でニヤニヤしている間に、沖田くんは着替えを始める。もう日が昇ったかな、ホテルの入ったのは夜中の三時くらいだった。それから持ち込んだお酒飲んで、二人でAV見て爆笑して、それからセックスして。ぐるぐると思考を巡らせて、床に散らばった衣服にちらりと目をやる。ああ、今日の下着、上下で色が違う。



「ろくじ」



嫌にはっきりとした発音で沖田くんが言う。彼はすでに隊服を身に纏っていて、何事も無かったかのように部屋を出ていこうとする。ゾッとするほど、冷たい目をしたまま。



「愛しの妙ちゃん、の上がりの時間でさァ」



そうかもう。もうそんな時間か。沖田くんが部屋を出て、呆気無く閉まる下品な柄の気持ち悪いドアを眺めていた。



「たえちゃん」



ぽつり零れた名前は誰にも届かない。だからに会いに行かなきゃ。世界で一番、愛しているあの人に。



夜の埋め方を知らない









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