「宇宙の年齢を20歳相当だと仮定すると、俺らは生後0.05秒くらいなんだよ」

「…へー…」

「興味なさそうだね」



閻魔先生の言うことは脈絡がない上に難しい。万年赤点の私には到底理解ができないのだ。だから聞いていても、なんと答えたらいいのか分からない。ただ、宇宙の話をしているときの閻魔先生は、とっても楽しそうだ。



「宇宙と比べたら人間が生きてるのなんて、一瞬なんだなーって思うと切ないよね」

「その一瞬が、私にとってはとっても苦痛ですけどね」

「まぁまぁ、そんなこと言わないでよ」



宇宙ってすごいよね、先生は何だかよく分からない模型をいじりながら言った。先生の話は難しいんですよ、口を尖らせながら言うと、そうかなあ、と先生は首を傾げた。

私は宇宙にそんな興味も無いし、これといって惹かれるものも無い。というか、難しい事はあんまり考えたくないのだ。私の頭はそんなに容量がないから、いっぺんに詰め込むと破裂すると思う(いや、実際はしないけど)。



「名前ちゃんはもーちょっと他に興味関心を持つべきだよね」

「えー…」

「一瞬でも、大事な人生じゃない」



にっこりと効果音が付きそうなくらいの笑顔で(ちょっと気持ち悪い)、閻魔先生は笑った。なかなかまとめ終わらないノートは明日提出にしてもらえたので、月が綺麗に輝く空を見上げながら家に帰った(途中で通行人にぶつかりそうになった)。家に帰ってから少しだけ宇宙の事を調べて先生に報告したら、先生は心底嬉しそうに笑った。




グリーゼ581g








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