彼女が誰を好きだろうが俺には関係のないことだったし、誰を好きだろうが俺は彼女が好きだった。だけど彼女の幸せを壊す勇気なんて俺にはなくて、彼女の横で幸せそうに笑うそいつと、これまた幸せそうに笑う彼女を見ていた。なのに彼女は俺の元にやってきて。泣いて、日本語なのかも分からない言語を喚いて、俺を睨みつけて、また泣いた。あー、振られたんだなー。能天気に考えてた俺の後頭部にクッションが直撃する。
「何…」
「ちゃんと聞いてよ!」
「聞いてるって」
本当に厄介だなぁ。だけどね、そんなことろも愛おしいと思えるほど俺は君が大好きでだけど君はまだ、君を受け止めてはくれなかったあいつが好きなんだろう?俺は優しくないんだよ。君が思ってるよりも子供で独占欲の塊で、君が誰かに抱かれてるなんてキスしてるなんて考えるだけで死にたくなるんだよ。俺、かっこうわるいなあ。
「ねえ、どうしてほしいの?」
「へ…?」
「だから、俺に話を聞かせて、それからどうしてほしいの?慰めてほしいの?つらかったねって名前ちゃんは何も悪くないんだよって」
「違…!」
「俺、名前ちゃんが思ってるほど、優しくないよ」
君が望むならその口を無理矢理塞いで君を抱いたっていいんだよ。
君が望むなら君を傷付けたそいつを殺したっていいんだよ。
君が望むなら、なんだってしてあげる。
だけど君が望むのはまたあいつに愛されることなんだろう。
「俺だってつらいよ」
ぽつり零れた言葉に、名前ちゃんは何も答えなかった。
supernova
(後戻りは望みません)
******
超新星(supernova)
大質量の恒星がその一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象。