「いちごメロンパンって結局のところどっちなの」
『えー…イチゴとメロン味?なんじゃない?」
「や、イチゴの味しかしない」
『え、それイチゴパンでよくね?メロンどこからきたの』
「君の心の中」
『(無視)メロンパンの形をしたイチゴ味のパンってことでしょ?』
「別にメロンパンの形じゃなくてもいいよね」
『だよね。普通にイチゴ味のパンとして売り出せばいいのにね』
「ね」
「お前ら元も子もないこと言いすぎだろ…」
『てか今日超寒いね』
「ねー…風強いし」
「名前、マフラーしてなかったか?」
『河合にとられた』
「あー…」
「河合くんは名前ちゃんのこと超大好きだもんね」
『有難迷惑とも言うね』
「いいじゃん。河合くん顔は、いいよ?」
『顔は…』
「明日河合に伝えときます」
「やめて、俺死んじゃう」
首元がさむい。今朝は私の首に巻かれていたそれは、今は河合の首元に巻かれているんだろうか。畜生あいつめ。陰でジャイアンって呼んでやろうかな。びゅう、と吹いた風が冷たくて、寒さに肩を竦めた。隣の長身(鬼男)とヘタレ(閻魔)はあったかそうなマフラーに顔を埋める。さむーい、とか言ってる閻魔が逆に憎たらしい。誰が一番寒いと思ってるんだ。私だぞ。そこの落ち葉で転べばいいのに。クリスマス予定あんの?、なんて、特に興味もなさそうに閻魔が訪ねた(答えを求めているのかもわからない)。鬼男も閻魔も、私も、恋人どころか想い人すらもいないのだ。家族や友人以外で予定なんて入らない。独り身は、さみしい。特に、と短く答えた鬼男に同意する。どうせお前もなんだろ閻魔。
「よし、俺決めた。今年のクリスマス、名前ちゃんにマフラー買ってあげる。真っ白の」
『持ってるからいい。河合にとられただけだし。返してもらうし』
「じゃあ何欲しいの?」
『現金。10万くらい』
「生々しいな」
「やっぱマフラーあげる」
『鬼男は何欲しい?』
「……って聞かれると困るよな」
『だよねー』
「もう三人でお揃いのマフラー買おうぜ」
『遠慮する』
「いらないです」
明日学校に行ったら、一番に河合の所に行ってマフラー返してもらおう。
お揃いのマフラーはやっぱり、恥ずかしいから。
帰り道での話。