ぼーっと立ち寄った喫茶店でアルバイトをする彼女に一目惚れしたのが一年前。勢い余って告白して見事振られたのが10ヶ月前。彼女の作ったらしいプリンを特別に試食させてもらったのが9ヶ月前。再び告白したら振られたのが半年前。彼女に「また来たんですか」と言われて1週間寝込んだのが5ヶ月前。彼女の簡単なプロフィールを半ば強引に聞き出したのが3ヶ月前(名字名前ちゃん、一つ年下)。三回目の告白をして振られたのが1ヶ月前。彼女は音楽は好きだけど洋楽しか聴かないのを知ったのが二週間前。そして彼女の好きなタイプは<雰囲気が良い人>だと知ったのが三日前。
そんな感じで俺のとっても濃い365日は過ぎていった。

カラカラとベルが鳴るドアをなるべく静かに閉めて、窓際の席に座る。この時間に人いないなんて珍しいなあ、なんて考えてたらいらっしゃいませ、と奥の方で小さく声がした。



「いらっしゃいませです」

「うん、こんにちは」

「今ホットケーキ焼けましたよ」

「あ、食べたい」



ふふ、と笑って翻していく。ああ今日も可愛いなぁ!!お待たせしました、とテーブルに置かれたホットケーキとカフェラテ。カフェラテは注文してないのに。首を傾げてると、いつもカフェラテなので、と笑われた。きゅんときた。



「甘い物お好きですよね」

「え、あ、いや、そうでもな、いよ?」

「え」

「え?」

「私甘い物大好きなので、残念だなあ、…と」



しくじったあああああああ!クレープ買ってきゃっきゃするくらい甘い物好きですって言えばよかったああああ…。少うしだけ自己嫌悪をしていると、名前ちゃんが笑った。



「え、なんで笑うの」

「いや、その、ほっぺにシロップ付いてます」



…恥ずかしっ!何このドジッ子アピール超意味ない。シロップをガシガシと拭いていたら、奥のキッチンに戻ろうとする名前ちゃん。今日こそ誘うって!太子と誓ったから!!



「あの!」

「はい?」

「来週の日曜日、よければ遊園地行きませんか!!」



一瞬だけぽかんとして、そのあとすぐにいつもの様に笑って、



「ごめんなさい、バイトなんです」



喫茶店で片想い








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