某月某日。彼女の声を聞いただけで、動揺した大王はコーヒーを(自分の太股に)溢した。僕の予想以上に重症だと気付く。
某月某日。彼女の顔を見ただけで大王は悶える。僕の予想以上に変態らしい。
某月某日。告白したらどうか、と持ちかけてみた。物凄く動揺して、「俺が?なんで?ちょっと意味わからない」と真っ赤な顔で言われる。中学二年の男子を見ているようだった。
「あ、鬼男さん」
「あ、こんにちは」
「あ、お買い物ですか?」
「あ、はい」
「あ、そうなんですか」
買い物帰りに偶然遭遇してしまった名前さんは、普段とは違うラフな格好で化粧もあまりしていなかった。どこか行くのかと聞くと、特に予定は無いです。と苦笑される。そういえば彼女、大王の想い人なんだよなぁ。
「…随分多いですけど、鬼男さん独り暮らしですよね?」
「あー…、その、特売やってて、つい」
「お母さんみたいですね」
「お母…!?」
クスクスと彼女は笑う。
とりあえず立ち話もなんですからと近くのスタバに入る。彼女は無難にコーヒーを頼んでいた。
「何か引き止めちゃってごめんなさい」
「ん?あぁ、大丈夫です。冷やさないと駄目な物は無いですし」
ふわりと笑う名前の笑顔が好きだと大王が言っていたのをぼんやり思い出した。
「あの、鬼男さんに相談があるんですけど…」
「?僕で良ければ、聞きますけど…」
「閻魔さんの、事で」
これはフラグ何じゃないか。大王、貴方の長年のストーカー行為もとい片想いが叶いそうです。
「あの人、どうにかなりませんか?事ある毎に好きだの愛してるだの言われて会社でも噂になってしまったし、ケーキとか頂くのはとっても嬉しいんですけど私、甘いのは本当に駄目なんですよ。第一仕事中にちょっかい出されると本当に鬱陶しくて、もう上司じゃなければ死ねって言いたい所何ですけどあくまで上司ですし…鬼男さんの方からなんとか行って頂けませんかね?」
片想いなんで所詮そんな物かと実感しました。
淀む