何、そのブレスレット、似合ってないね。
久々会って開口一番そう言い放った閻魔をぶん殴りたくなった。半年前に一目惚れしてから、ずっと欲しかったシンプルで可愛らしいブレスレット。どうしても欲しくて、みんなに内緒でバイトをして買った。のに。あのイカ野郎。似合ってないで一蹴しやがって。流石に失礼でしょう、似合ってないって。折角バイトして買ったのに!心の中で喚いてみてもイカには届かない。ムカつくから今日一日黙殺の刑に処す。
「名前ちゃーん。ねー…名前ちゃーん?何、ふて腐れてんの?」
うりうり、とほっぺを突っついたり髪の毛を弄ったり、鬱陶しいこの上ない。優しく髪の毛を梳く手を払いのけたら、閻魔は少し吃驚した顔をした。睨みつけると、バツが悪そうに頬を掻く。
「あー…ショックだった?」
「当たり前でしょ」
「ごめんね」
「許さない」
「…えー…」
「えーじゃないよ!折角バイトして買ったのに!それを似合ってないってお前…!怒るに決まってるしショック受けるわ!」
「急に饒舌になったね」
「うっさい馬鹿禿げろ!」
いやまだ大丈夫だからまだいけるからね!?と煩い閻魔を無視してたら、左手首にひんやりとした感触。少しゴツゴツした形状で、自己主張の激しいブレスレットが左手首に付けられてた。
「え…」
「前に、ブレスレット欲しいって言ってたから俺買ってあげちゃったんだけど」
「…私シンプルなやつが好きなんだけど」
「知ってる」
そうは言いながらも私が自分で買ったブレスレットを外そうとする。閻魔の独占欲が見えた気がした。
「…ありがとうございます」
「ん」
指輪が良かった、ぽつり呟いたら、俺金欠なんだよね、と格好悪いセリフが返ってくる。どうせならもうちょっとかっこつけてほしかったなあ。でもねでもね、とっても嬉しいよ。
心臓が煩い