帰りにスーパーに行って切らしてた砂糖と珈琲を買おう。それからあいつが大好きな苺とチョコも買おう。喜ぶ顔を想像したら頬が緩んだ。何にやにやしてるのー、と聞いてくる上司に何でもないです、と誤魔化しながら答えた。気を付けないと不審人物になってしまう。
「…何、彼女さんのことでも考えてたの?」
「え、あ、…まぁ」
「ふーんふーんふーん」
なんだよ、その顔。
にやにやしながら何かを考え込む上司の机に出来上がったばかりの書類を置いて自分の机に戻った。
「鬼男くん、今日はもう帰っていいよ」
「へ?」
「え?帰っていいよ?」
「いいんですか?」
「うん、優しい俺からのプレゼント」
にっこりと笑った上司にお礼を言って帰り支度を始めた。鬼男くんばっかり狡い、と同僚が口を尖らせて愚痴ったのは聞こえないフリをした。
* * *
「ただいま」
「ぅ鬼男くん!?お帰りなさい!」
早かったね、と笑う名前の頭を軽く撫でてやると嬉しそうに目を細めた。スーパーの袋を漁って、名前の為に買ってきてチョコを渡すと鬼男くん大好き!と言いながらリビングに戻って行った。追い掛けるようにリビングに入ると低めのテーブルに並べられた美味そうな料理。
ああ、もう。嬉しすぎて、幸せすぎて、死にそうだ。
「………。」
「鬼男くん?」
「あのさ」
「はい?」
「…結婚してくれ。ま、せんか」
「…………このタイミングで言う…?」
もーちょっとこう考えてさぁ、とチョコを齧る。少しだけ赤く染まった頬にキスをした。
「もー……もうぅー…」
「じゃあさっきの取り消しで」
「え!?何それ出来ないし!!こちらこそ結婚してくださいだし!!」
「なんだよ、それ」
笑えば、名前もつられて笑った。
君の心臓が今日も僕を動かして明日の世界を廻す
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友情出演
上司:閻魔大王
同僚:小野妹子
仕事してる鬼男が書きたかったのに訳分からん感じになりました。