「キャー!キャー!きゃああああ!!」

「うっさ!名前ちゃんうっさ!!」

「見ちゃった見ちゃった見ちゃった!!」

「何を!」

「サッカー部の先輩がうちのクラスの…誰だっけ…誰かとキスしてた!」

「インモラル!!」

「やっべえええええ!興奮する!」

「見に行こうぜ!!」

「あははは!行かねえし!一人で行けし!!」



断られたー、とテンション低めに閻魔は自分の席に座った。私も閻魔の隣の席(前田くん、席借ります)に座って、鞄の中から常備しているお菓子を取り出した。その中のマシュマロを勝手に開けて食べ始める閻魔を横目に、私は葡萄の飴を舐める。もう日課となった放課後のおやつタイムは、閻魔と私の秘密で誰にもばれていない(てゆうか校則違反だしね、お菓子)。そして割と好きだったりするのだ。閻魔も、この時間も。



「でもさぁ…俺らまだ中学生じゃん?ませてるね、みんな」

「エロ本常備の閻魔に言われたくないけどねー」

「何で知ってるの!?」



知ってるよ。閻魔が巨乳派だってこと。因みに私は貧乳である。これからの成長に期待したい。



「ちゅーってどんな味するの?」

「え、知らん」

「どんな感覚?」

「マシュマロ?」

「マジで!」



閻魔はふにふにとマシュマロを弄る。

そういえばもうすぐテストあったなあ、なんて考えてたら視界いっぱいに映り込む、閻魔。



「…葡萄味」

「………え?…え?」

「あはは、かわいー」



ケラケラ笑う閻魔を見て、顔が熱くなっていくのを感じた。



こどもバニラ




「で、改めまして、」

「え?」

「好きです、付き合ってください!」



いくらなんでも唐突すぎじゃありませんか。私も閻魔が好きです、よろしくお願いします。あーよかった、と閻魔が息を吐く。教室の扉の方から聞こえた足跡に赤かったであろう顔が青ざめた。翌日の質問攻めが鬱陶しいったらないのに、それでも閻魔は幸せそうだった。





title:にやり





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