人の来ない屋上でサボっていた俺を見つけて嬉しそうに彼女は近寄って来た。やだなあ。俺、この子苦手なのに。そうは思いつつも口には出せないので、当たり前のように隣に座る彼女の横顔を一瞥して空を仰いだ。
「私閻魔さん以外の人間は嫌いです」
「へえ」
俺の答えに不満だったのか、少しだけ不機嫌そうに彼女は言葉を紡ぐ。
「本当なんですよ?閻魔さんの為なら死んでもいいですし。てゆうか私に生きてる価値なんてあるんでしょうか」
ああ、雲っていいなあ。ゆったりと流れる雲に乗りたいとか、てゆうか雲になりたいなんて考えて彼女に視線を戻した。
「そんなこと俺に聞いてどうしたいの?生きてって言ってほしいの?俺君の事何にも知らないのに」
あのさ、正直、俺、君が思ってる以上に酷い人間で君が思ってるほど優しくないよ。てゆうか、人間が嫌いだなんて言う君だって人間じゃないか。
「わたし、」
「俺は誰かの為に生きるなんて馬鹿げたことしたくないしされたくない」
「えん、ま」
「君は君の為に生きて死んでいくんだよ。そこに勝手に組み込んだ俺の為に死ぬなんて、相当な馬鹿だね」
泣いているのかはたまた泣きそうなのか。顔を歪めた彼女は逃げるように立ち去って行った。あぁいい天気だなあ。
ぼんやりと眺めた空が滲んだ。
太陽光線目に痛い