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朔夜がだるそうに言ったとき、ダンがのれんをくぐって入ってきた。手には紙切れを持っている。松本は目ざとく見つけて問う。

「博士、なんですそれ?…『朔夜のテスト日程と勉強計画』?」
「え…!」
「『毎回テスト前には作っているだろう。明日から三日間テスト日程だから必要かな、とおもって』」
「ダンくん…君ってやつぁ…!大好きだぁぁああ!」
「なんだかんだで博士ってちゃんとやることはやってますよね」

ダンが両手を広げて抱きついてきた朔夜を受け止めた。松本と弥生は笑顔で見ている。ダンは非常に嬉しそうだ。朔夜に抱きつかれるなんて久しぶりすぎる。

「『朔夜が僕の胸に顔を埋めて…ハァハァ』」
「気持ち悪っ!」
「………」
「あ、はい、訳してすみません…」
「とりあえずありがとっ」
「ダンくん、いつもごめんなさいねぇ」

朔夜は紙切れをひったくってダンから飛びすさった。弥生がころころと笑って言う。松本はいつもの光景をにこやかに眺めている。いつもの光景…いつも…いつも?不意に不安になって朔夜の方を見る。そう言えば先程ダンが書いていたもの。あれは確か…。朔夜は紙を見て愕然と立ち尽くしていた。

「ダンくん…」
「さ、朔夜くん、まさか…」
「また全部きったねぇ英語じゃねーかぁぁぁああ!!」

夜は更けていく。




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