■ ハンターさん救出される

 助けに来てくれたぞヤッター!なんて喜んでいる場合、ではないんだと思う。
 こっちの世界の強さ事情なんか全く分からない私でも、大剣を構えたミホークが纏う空気が明らかに“只者じゃない”ことだけは理解出来る。
 数日間一緒に過ごしておいて何だけど、そういえばこのおっさんのことをいまいち何も知らないのだと言うことに気付いて、私は思わず不安になった。

「ちょっ、ミホ──」
「主は黙っていろ」

 止めたいんだか助けてほしいんだか、自分でもよく分からないまま上げた声をミホークに途中で阻まれる。もう割とすぐそこまで兵隊さん…じゃなかった、海軍さん?が迫っている。これはもう正面衝突以外の未来が見えない。
 あのテンプレ過ぎるナンパを一蹴しなければこうならなかったんだろうか。過去を振り返ってみるも、何だかんだ結局はこんな事態に陥っていたような気がしてならない。
 凄く解せない。もうやだ。
 うう、と私が情けない呻き声を上げた辺りで、背後から騒々しい足音と共に複数の人の気配。何だかたっぷり時間があったように感じられるけど、実際は10秒くらいしか経っていないのだと思う。

「……“鷹の目”?!」
「どうして王下七武海がここに…!」

 ところが、追い付いてきた海軍さんたちは、どよめきながらもその足を止めてしまった。視線は明らかに私を通り越して、緩く大剣を構えているミホークに向けられている。
 ん? これはどういうことかしらん?

「…これは俺のツレだが、何か問題でも?」

 私に受け答えする時より一段低い声が路地に響く。肌を刺すようなぴりぴりとした気配は、殺気じみたものなんだと思う。激昂ラージャンを目の前にしたみたいな緊張感。ごくりと喉が鳴った。
 庇われているっぽい状態の私でもこれだから、その気を直接向けられた彼らの反応はいっそ可哀想になるくらいだった。思い切り体を跳ねさせて、声なんか今にも泣き出すんじゃないかってくらいに震えている。

「そ、それは大変失礼致しました…!」
「引き取っていいならば連れて帰るが。何か重要なことなら上を通せ」
「いいいいえ、お引き取り頂いて結構ですので…ッ」

 ミホークの余りにも冷静で淡々とした口調とは正反対に、海軍さんたちはこれでもかと言う程ぺこぺこした後にすっ飛ぶようにしてどこかへと散っていってしまった。
 私にはもうどこだか分からない路地には何事もなかったかのように大剣を背中に戻すミホークと可愛いお座りポーズのナルガたん、そして状況に取り残されてぽかんとしている私だけが残される。

「………ええと、ミホーク…さん、は一体どういう…?」

 何かめっちゃビビられてたけど。めっちゃ謙られてたけど。
 思わず“さん”とかつけちゃった私に心底呆れ返った視線を投げて、ミホークは一言「帰るぞ」と私に言って寄越したのだった。







MHXでナルガたん復活!おめでとう!!マガラ狩って無聊を慰める生活から脱却出来て感無量です。

16.1.15


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