■ サディスティックマキャベリズム
※突然のホモ4
「………あー…」
「ええと、…」
「…サー?」
躊躇いがちな呼び掛け。それに返答はなく、ひたすらに沈黙だけが空間を満たしている。
己に与えられた小狭い部屋、その片隅に置かれたベッドに大柄な男が寝そべっていた。というか普通にそれは上司だ。ボディーガードという名目で彼を雇っている人物である。
「………えー…何なんだよどうしろってんだ」
彼はガタイがいい方だが、流石に2メーター半を越える大男を抱えて歩ける程ではない。そしてどうやら眠っているらしい上司を叩き起こすような度胸もありやしない。
低血圧な上司は寝起きの機嫌が頗る悪く、故に起こすとなれば命懸けである。冗談ではなく。
気配を消すでもなく直近まで近寄ってみるが、それに気付いて目覚める様子はない。距離が縮まったことによって微かに寝息が聞こえた。似合わないようにすら感じられる穏やかな呼吸。警戒心を感じさせない、一種のあどけなさを覚える横顔。
「……こうしてりゃあ少しは、可愛げもあるのになぁ」
つん、と頬を指先でつつく。かさついた感触に相手は四十路のおっさんだということを思い出さされた。
可愛げがどうのというのは土台おかしい話だ。だが普段が凶悪な分、こういう姿を見せられるとそう感じてしまう。本当に、普段は悪魔か地獄の使者かと言いたいくらいに色々と酷いのに。
「そんな油断してると日頃の仕返ししちまうぞー、なぁん…てぇっ?!」
ぐい、と突然腕が引かれた。体勢を大きく崩されベッドに体が乗る。というか完全に組み敷かれた状態。
予想外に過ぎて咄嗟に受け身すら取れなかった彼を、見下ろすのは爛とした黄金の双眸だ。
「ほう、何をしてくれる気だ?」
「えっ、いや、そのっ…ナンデモナイデス?」
「クハハ、遠慮するな。“日頃の仕返し”たっぷりしてもらおうじゃねェか」
「てめ、ハメたなこの野郎…!!」
「まだハメてねェよ」
「そういう意味じゃな、…ひっッ!」
ただでさえ貧困なタイトルネタが尽きてきた感MAX
16.08.24
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