■ Apotemnophilia
「ねぇ、どうして隠してしまうの?」
「それってあってもなくても、不便なことに変わりはないんでしょう?」
「それならない方が何倍だって何十倍だっていいわ」
「ねぇ…サー? サー・クロコダイル? 聞こえている?」
「ねぇってば」
「煩ェ…勝手に囀ずってろ」
「もう、大事な話なのに。一回でいいからその無粋なの外してよ」
「折角こんなに綺麗なのに」
「勿体ないでしょ、ねぇ」
「ちょっとだけ…古傷弄くり回したりしないから、」
「ねぇねぇお願いクロコちゃん」
「……………何の話だ」
「やだ、それすら分かってなかったの? 腕の話に決まってるじゃない、左腕」
「あァ?」
「〜〜〜ッだから! その神懸かり的な黄金比で欠落した左腕の断面が見たくてあわよくば舐めたりとかしtきゃん! ちょっ、危ないでしょ何するの!」
「身の危険を感じた」
「私別に切断嗜好はないから大丈夫だしそもそも私じゃクロコちゃん傷付けたり出来な──何でそんな盛大に逃げるの?!」
「…変態なのは分かっちゃいたがそこまでだったのかテメェ」
「えっ酷い! 変態なんぞと一緒にしないで私はただその失われた腕のことを思うと恋はいつでもハリケーンなだけで…っ」
「世界平和の為に死んどけ。“三日月形砂丘”!」
「きゃああ洒落にならないっクロコちゃんの照れ屋!」
「大人しく息の根止められろ変態野郎!」
四肢欠損性愛
薄く被った皮膚の上から歪な骨の断面を撫でたいって話。舐めるのでも可。
13.05.30
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