■ ハンターさん気を遣う

 他愛ない話をしながら日用品を買って回って、取り敢えずやるべきことは終わり。後は次の島までの道標になるログとやらが溜まるまで島でまったり過ごすそうな。
 で、ミホークは突然に数時間の自由行動を提案してきた。この島のことを何にも知らない私に対して酷くない? 放置宣言と殆ど完全にイコールじゃない?

「別に一緒にいてもいいでしょー? 何よミホークのけちんぼー」
「…無益」

 実に面倒臭そうな顔で呟いてすたすた歩いていくミホークの後ろを私は勝手についていく。別に自由行動は別行動と同義じゃないしね。私がミホークについていくのも自由だもんね。
 そうして暫く歩いていくと、何だか街の様子が少し変わってきたのが分かった。この独特の雰囲気は、街のことをよく知らなくてもまぁ大体推察出来る。──色街だ。
 ミホークが何でそんなところにやってきたのかということは、流石に野暮過ぎるから訊かないことにした。そりゃ海上生活してたら溜まるものもあるよなぁ。
 ちらりと視線を投げると、何か微妙な眼差しを返された。何変な顔してるんだろうこのオッさん。はっ、もしや多少恥ずかしかったりするんだろうか。

「はいはい分かりましたよーだ。いい子な※※※ちゃんは一人で遊んでますー」
「…迷子になるなよ」
「誰がなるか!」

 そんな会話をして、私はミホークと別れた。多分2時間くらい前だと思う。
 で、うん、啖呵を切ったのが懐かしいなぁと振り返るのは、絶賛迷子になっているからなのだった。
 うぐぐ、この分だと確実にミホークに馬鹿にされる。これでもフィールドじゃ一回も迷子になったことなんてないのに。そうだきっとこの街が異様に入り組んでたんだ。私は悪くない、ということにしておこう。
 それで待ち合わせ場所へはどう行ったらいいのか訊こうかと思ったのだが。これがまた、苛めかってくらいに周りにはチンピラ風のおにーさん方しかいない。柄悪っ。私は爽やか好青年の方が好みだよ誰もそんなこと聞いちゃいないだろうけどさ。
 じろじろ無遠慮に注がれる視線が不快だ。そんなに私の格好ってこの辺じゃ変なんだろうか。フロギィ装備気に入ってるんだけどなー。

「よォ姉ちゃん、こんなとこで待ち合わせか何かか?」
「待ち合わせと言えば待ち合わせなような違うような…」
「連れが来るまで俺たちと遊んでようぜ」
「いや結構毛だらけアイルー泥だらけなんで」

 伸ばされた手をすいと避けたらムッとした顔をされる。更にこのアマとか何とか言いながら掴み掛かってこようとしたから、足を引っ掻けてバランスを崩させたら簡単にすっ転んでしまった。あーうん、これは拙いかな。
 と思った直後に男の仲間っぽいのが一気に殺気立った。うう、ですよね…面倒臭いなぁ。
 でもまぁ半分くらい自分で蒔いた種だからどうにかするしかないか。腰の後ろに剥ぎ取りナイフがいつも通りに納まっていることを確認しつつ、私は取り敢えず音爆弾を放り投げた。







対モンスター用装備を人間に使うのは止めましょう。

13.07.14


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