■ ハンターさん島に到達
「ミホーク! 島、島見えた!」
「騒ぐな、分かっている」
私がこの小船…じゃなかった、棺船とやらにご厄介になり始めて5日。初めて島が見えたんだからそりゃテンションも上がるってもんだ。海がいっぱいの世界だって聞いてはいたけど本当に海ばっかで退屈して死にそうだった私にはその島が楽園のようにすら見える。
一方この数日で私の扱いがティガの突進スピード並みの早さで雑になったミホークは、面倒臭そうに視線を寄越すだけ。何よう、大人の男の余裕格好いい!とか思ってやらないんだからこの厨ニ大剣豪様々め。ぐりぐり金目で睨んできたって全然怖くないし。
双眼鏡をしまって、私はボックスをガチャリと開ける。島ってことは当然村とかそういうのあるんだろうし、そしたら買い物とか出来る訳で。って、そういえば。
「ねぇねぇ、お金ってどんなの? ゼニー使える?」
「ゼニー? 通貨ならベリーだが」
あちゃー、やっぱ駄目か。若干語感似てるからどうにかなったり…しないよね。なんてこった、上陸したって楽しみ半減じゃないか。
ずーんと落ち込みモーションをしていると、ずいっと横手から出てきた袋。押し付けられたから受け取ってみたら、何だかずっしり重かったりする。
「何これ」
「ベリーだ。入り用だろう」
「割と初めてミホークが偉大に見えた! お小遣いあげる的なノリを激しく感じるけど! あっそうだパパって呼んだげようか?」
「いらん」
「デスヨネー」
またもテンションが上がった私にミホークは溜め息を零している。何だよ何だよ、そんな深刻そうな顔しちゃってさ。
という訳で島です。上陸に際して装備はゴツくないのにしろ、スラックスは置いてきなさい、迷子になるな、ナルガたんはお留守番、と何か遠足を引率する先生みたいなことを宣ったミホークと一緒に歩いています。
うん、いるんだけどもさ。何で自分は背中の馬鹿デカい剣持ってきてるんだ差別か!
「区別だ。主に武器を持たせておくと碌でもないことにしかならん気がする」
「ひっど! さては人のこと脳筋馬鹿だと思ってるでしょ」
目を逸らされた。やだこの人マジでそう思ってたくさいよ失礼な。これでもちゃんと考えて行動してるよ私。ノリと勢いで何とかしちゃうことが多々あったりなかったりしたりするだけだもん。
とか考えつつも、さっきから周囲の視線が気になっていたり。何だろ、私何か変? 暑いから護石と珠でがっつりカスタムしたフロギィS装備で快適耐暑なうなだけなんだけど。あぁ、隣で盛大に胸〜腹チラしてるオッさんが目を引いてるのか。そうかそれなら仕方ないったぁ!
「何すんのミホーク!」
「やはり馬鹿だな」
はたかれた頭を押さえつつ高い位置にあるミホークの顔を見上げると、フンと鼻で笑われた。ぐぬぬぬ、いつか見返してやるんだからこの日がな酒浸り親父!
ハンターさんはセレクトキックと剥ぎ取りナイフだけでも十分碌なことにはならない予感。
13.06.21
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