■ そして次には本能のまま
まず第一に、物理的に捕まえた。
小娘一人、この手の内に捕らえるなんざ簡単過ぎることだった。
「ク、クロコダイル、さん…?」
「あぁ※※※、ここにいたのか」
「…どうか、しました? 怖い顔してる」
「何という程のことでもねェさ」
「、何するんですか…いや、っ」
第二に、反抗は封じた。
震える肩は今にも折れちまいそうな程に細かった。
「抵抗したいならすればいいが…勧めはしねェ」
「…クロコダイルさん、」
「家族や友達を大切に思うならな」
「何で──何でこんな…、」
そして次には本能のまま。
爪を埋め、牙を立て。貪ったその肉の甘さにくらりと俺は目を眩ませる。騙し騙し、大切にしようなんざ最初から馬鹿げた話だった訳だ。もっと早くにこうしておけば、不要な感情は抱かなかったんだろう。
そうして彼は帰らなかった。新聞に踊る文字の羅列が私には嘘みたいに滲んで見えた。
13.06.12
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