■ 肉食獣は勘違う

 一体こいつは何をしているんだ。
 それが俺が真っ先に抱いた感想だった。目の前にはこんもりした俺のベッドの布団。そこで図々しくもすやすや寝息を立てているのは、顔はよく見えないが※※※だ。匂いがするから間違いない。
 で、こいつは何をやっているんだ。人の──しかもこの俺の部屋で、加えて半裸で。

「………“指銃”」
「ふぁあ?! “鉄塊”!」

 半裸だと思ってシーツをひっ剥がしたらまさかの全裸だった。思わず放った指銃を※※※は飛び起きて鉄塊で防ぐ。その辺りはなまじなりともCP9の一員か。
 物凄く驚いた顔をしてこちらを見てくる※※※は、何度見てもやはり何も身に付けていない。ブラジャーやキャミソールどころかパンツすらない。寝惚けているのか隠そうともしない。晒された肌は白く、牙を立てたら柔らかく食い込みそうな様子にぞくりとする。
 はて、俺は※※※とそういう仲だっただろうか。確かに前々から美味そうだとは思っていたが、まだ手は出していなかった気がする。俺も※※※も任務で忙しいし、というか俺は任務から帰ってきたばかりで──

「ルッチ? どうかした?」

 きょとんとして俺を見上げてくる※※※はまるで無防備に喉元を晒した草食獣だ。バカヤロウの為に解説しておいてやると、つまり最高に可愛らしいということだ。

「…※※※、」
「うん」
「必ず幸せにする」
「う──、ん? あれ? ルッチさん? 本物? えっちょ、嘘やだ待って待って下さいっていうか私裸?!」

 腕の中で抱えた※※※がじたばたして何か言っているが、俺の知ったことではない。この言葉は正に今使うべきだろう。即ち、善は急げ。



 因みにこの後俺は野良犬に散々笑われ“指銃”、カリファに攻撃され“鉄塊”、※※※に逃げ出され“剃”、カクに行く手を阻まれ“嵐脚”、最終的に※※※が逃げ込んだのでバk…長官に八つ当たりをしておいた。

「わぁん長官助けて下さい…!」
「ヴァッカお前殺気立ったルッチなんか連れてくるんじゃ──」
「“指銃”!」
「うぉっ危ね! 今日のおやつ抜きにするぞお前ら!!」







今日もエニエス・ロビーは通常運転です。

13.06.11


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