■ わにワニぱにっく

※鰐娘(エンパイアローズ)設定




「たまには帰ったってバチは当たらないでしょ…?!」
「煩ェ指図すんな餓鬼が…!」
「っ、あんたがそういう態度だから──」
「あァ?! テメェこそどうなんだ!」

「わーお…何やってんのアレ」

 ズドォン、ガキィン!と激しい戦闘音を響かせつつ近付いては離れる2つの影。招集が掛かってやって来たらこれだ。停泊した軍艦と海賊船を足場にアクロバティックやってるのは、俺の目がおかしくなってなきゃ鰐野郎と俺の可愛い可愛い※※※ちゃんだ。
 アレ、と指差しながら近くにいた海兵に訊いたら、そいつもよく分かっていないらしく困惑した表情を返される。今にも逃げ出したそうだ。
 そりゃ自然系2人の割と本気のぶつかり合いだもんなァ。海に落ちたら溺死する可能性もあるってのに桟橋にすら上がらずに戦ってんのは港をぶっ壊さない為の配慮──じゃ、ねェんだろうな、多分。
 サラサラと砂になって逃げるクロコダイルに痺れを切らしたのか※※※が指先で白くてふわふわした塊を弾いた。雲だ。それは空に浮かんだかと思うと急速に発達して、馬鹿デカい雷鳴を響かせつつ大粒の雨を落とし始めた。…積乱雲かよ。流石は雲人間。
 漏れなく濡れたクロコダイルがチッと舌打ち。対する※※※はゾクゾクする笑みを浮かべてハルバードを一閃。それをどうにか受けはしてるがこの状況を作られた時点でクロコダイルが不利だ。んなことは理解出来てるだろう、だからこその舌打ちだ。

「※※※ちゃァん」
「! ドフ──、…んっ」

 クロコダイルの攻撃を跳ね飛んで避け、軍艦の舳先に降りた※※※の背後にするりと接近。俺がいるのなんか全部気付いていなかったらしいその細い顎を捉えて上から屈み込み、唇を奪う。やろうと思えば簡単に出来る癖に、ハルバードを振ってこないのが可愛らしい。
 暫く口内を堪能してから離すと、※※※の頬は微かに上気していた。濡れた瞳に煽られる。すっげェ可愛い。
 そのまま腰を抱こうとした手は叩き落とされた。と同時に怒声。

「「邪魔をするなクソミンゴ野郎!!」」

 綺麗な唱和、と同時に遠近から見事な連携の波状攻撃。それに思い切り叩き潰されそうになって、俺は慌てて空中待避。したものの、当然のように追ってこられた。デスヨネー。
 いつの間にか雨は止まっていて、俺は2人分のよく分からない怒りをぶつけられる羽目になったのだった。普通こういうの、叩かれてイテイテッて啼くのは鰐の方じゃねェ?ぐすん。







たまには実家帰れよ、で喧嘩する父娘。
ちょっかい出してとばっちり食うドフラ。

13.06.09

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