zzz | ナノ





▼ 思い、すれ違い

「まさかゾンビマンさんを不死身の身体にしたジーナス博士があのたこやきの家で勉強を教えてくれたジーナス博士だったなんて!」
「今の今まで、同一人物だと気づいてなかったのもすごいな……。」

目を輝かせて、頬を紅潮させているなまえを見てゾンビマンは不安な気持ちに駆られていた。あんなに『不死身は偶然できたもの』『なので実験サンプル66号以外に不死身は存在しない』と言われてたのに。一体急に、どうしてジーナス博士は不死身の作成方法を確立することができたのか。そもそも……
「それは本当に『不死身にする方法』なのか?」
「え?」
「だっておかしいだろ、ジーナスはタコの足を無限に生産できるが、不死身は俺一人のはずだ。ジーナス本人も不死身の研究には難航していた。それなのに突然、なまえに『不死の身体を与えよう』なんて、都合が良すぎないか?そもそもなんでジーナスはなまえが不死身になりたがっていることを知っているんだ?あいつはお前が命の危険にさらされたときにリミッターを外すとしか知らな……」
「リミッター?なんですかそれ」

しまった、という顔をした。そしてなまえはゾンビマンが『しまった』という顔をしたのを見逃さなかった。
「なんでもない。なんでもないんだ。」
「わたしに言えないことですか?」
「まだよくわかってねぇことだからな……。不確定のことは伝えらんねえよ。もう少し二人の間で考えが固まってからまた話す。」
「ジーナス博士とゾンビマンさんの間でわたしの話が出てるんですか?」
「ちょ、ちょっとな……」
二人の間に気まずい空気が流れる。息苦しい。お互い黙ってしまったし、空気が重い。早足で自宅を目指し、目線をきょろ、きょろを動かすしかできない。

「もうわけがわかりません。不死身になれると思って報告したらゾンビマンさんにはあまりよくない顔をされるし、わたしには内緒でなにかこそこそしてるし。こうなったらジーナス博士に直接ききます。」
なまえはそう言って、踵を返しゾンビマンが来た道、すなわちたこやきの家方面につま先を向け腕を大きく振って歩いて行った。



prev / next

[ back to top ]