▼ おんなのこごころ
「んねーフブキちゃん、今度二人でケーキ食べ行こうよー、なんか今この雑誌読んでたらすっごいかわいいやつ食べたくなってきちゃった。」
サイタマ先生のうちに遊びに来たのだが、サイタマ先生とキングさんはゲームしてるしジェノスくんは夕飯のお買い物だし、誰一人かまってくれなくて暇なのだったのだ。
そこでジェノスくんがいないと知ってか否か、とにかくナイスタイミングでフブキちゃんがやってきた。
よかった、ジェノスくんがいないときで。この二人は犬猿の仲にみえるし、実際この前は喧嘩の後片付けが大変だった。
「ケーキ?食べに行くの?どこへ」
「んーとね、ここがいいなぁ」
雑誌の折り目をつけたページの写真を指さす。
私だって女の子だから、かわいいもの補給がしたくなる。
そして一度でいいから、前々からフブキちゃんと一緒にお出かけしたかったんだ。フブキちゃんって言っても相手の方がたぶん年上だけど。
「……わたしで、いいの」
フブキちゃんが雑誌から目を離さずに、少し震えた声で呟いた。
「え?なんで?わたしはフブキちゃんと行きたくて誘ってるんだけど、都合悪かったかな…」
「そんなっ!!そんな都合が悪いとかじゃなくて、その、わたしなんかでいいの」
フブキちゃんのこんな姿初めて見た。みんなから傲慢で自己中とか言われてるフブキちゃんと似てもにつかないくらい。
「ふ、フブキちゃん?」
「……いや、別になんでもないわ、なまえが行きたいなら一緒に行ってあげるわ。」
フブキちゃんは我に返ったように落ち着きを取り戻して、いつもの高飛車な態度に戻っていた。
そんなフブキちゃん、嫌いじゃない。
やっぱり女の子だもん、弱いとこだってきちんとあるから好感持てるし、強くありたいと思う意志の固さ、女子として尊敬する。
フブキちゃんはなんだかこちらを見てそわそわしている。
別に冷たく言われたからってわたしは簡単に傷ついたりしないぞ。
「もうフブキちゃんったら素直じゃない〜〜!」
「とにかくケーキ!!ケーキね!行くわよ!!」
2013/04/22
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