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▼ ドキン!

※アマイマスク←主人公←ゾンビマン片想い設定








「きゃ〜〜!!今日もかっこいいわーアマイマスク様!」

カメラを構えて目の前で戦うイケメンヒーローを激写。ばしばしばしとシャッターをきる。

両手に抱える一眼レフはバイトをがんばったわたしの努力の証としてピカピカと輝いている。ただのデジカメじゃ満足できなくて、無理をして買ったのだ。やはり撮れる写真の雰囲気が変わる。


「おいなまえ」

「え?」

驚いてカメラを落としそうになった。キュンと心臓が止まりそうになった。
別にときめいているわけではない。敢えて言うなら少しの殺意が芽生えたくらいだ。もっともこいつは死にはしないが。


「なによあんた、わたしの邪魔する気?」

「だーかーらぁ いつも名前で呼べっつってるじゃねぇか、俺のこと」

呼ばないわよ、何をこの男は名前で呼んでもらおうと固執しているのかしら。
わざわざそんなこといいに来たの?

きっ、と睨み返す「何の用よ」と言うと、と呆れた、と溜息が返ってきた。微かに煙草臭い。

「ああ、言いたかったのはそれじゃなかった。とにかくカメラをしまって、ここは危ないからこの場から離れろ、な?」

「えー、嫌よ、アマイマスク様の活躍をこのカメラに収めておきたいわ。」



これは少々相手の癪に障ったようで、「ああそうか、てめぇは意地でもアマイマスクの写真を撮りたいわけかよ」と眉を寄せて肩を震わせてゾンビマンは言った。


そこからのゾンビマンの動きは鮮やかで、

「あ、ちょっと!!」
なまえから一眼レフデジタルカメラを奪取するとともに中からSDカードを取り出し、



「そおいっ!!」


怪物と戦うアマイマスクたちとは別方向に思っきり投げた。

きらりと空中に光る記憶媒体。

「あーっ!わたしの全てが!!今までのアマイマスク様の写真がぁ!」


失してしまっては大変だ、何としても取り戻さなければ!!!


「なにすんのよー!このあほ!ゾンビマンのばか!」

言うだけ言ってこの場を走り去る。

くそお、8GBのSDカード、失くすのは惜しい!!

血眼で探してSDカードを見つけて、我に返って最初に思ったことは、
「そういえば、いつからかゾンビマンと知り合ったけど、なんであいつは初対面からわたしの名前を知っていたんだろう……」








「……ふぅ」
やっと安全な場所に行ってくれたか。

勢いよく投げたせいで少し腕に違和感がある。ポキリと骨を鳴らした。

なんでいつも素直に俺の言う事を聞いてくれないのか、本当に心配して言ってるのに。

ヒーローとして、だけじゃない。
俺はあいつに、なまえに特別な感情を抱いている。自覚している。だからこそ熱心に彼女を守ろうとしているつもりだ。とは言っても、なまえはアマイマスクにぞっこんで、俺のことは邪魔もの扱いするけど。



「なまえ……いつか絶対にお前のこと振り向かせてみせるから」
どんな手を使ってでも。俺のことを見てほしいから。






2013/04/21 続くかも

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