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▼ たこやきの家で花火

※たこやきの家の屋上にて

「よかったですね、雨降らなくて」
「花火を見ながらたこやき食べるなんて風流だ」
「ところで博士、アマゴリさんは?」
「ああ、アーマードゴリラは花火大会会場の近くに出張して屋台出してるよ」
「そっかぁ〜、ちょっと寂しいですね」
「ところで66号は?」
「そろそろ来ると思いますよ、コンビニでお酒とおつまみを買ってくるらしいです」
「ここにはたこやきしかないもんなー、ははは!」
「ははは……」


「なまえ」
「あっゾンビマンさん」
「来たか、遅かったな66号」
「ここにたこやきしかないせいだろーが、ていうかいたのか博士!年寄りはもう寝てると思ってたぜ」
「ぎりぃ」
「『ぎりぃ』って口に出して言うもんじゃないですよ博士」
「中身のセンスはジジイだからしかたねぇよ」
「でも博士のおじいちゃんっぽいところ、かわいいです」
「(おじいちゃんっぽいからこそ博士になつくんだろうな……なまえの俺に対する態度と博士に対する態度の違い……)」
「まぁ、私も中身は年寄りでも体は若いから体力には自身があるんだがな」
「博士にはなまえから離れててもらおう」


「わーっ綺麗ー!」
「どれ、写真を撮ってあげよう」
「やったー博士ありがとうございます!」
「(なんでなまえは博士に対してそんなに無邪気なんだ……)ガキかよ」
「ゾンビマンさん今なんて言いましたか」
「や、別に何も?」
「花火終わる前に写真とるから、なまえ、そこの柵みたいなとこに。そうそう。え?何?66号も写るの?なんでちゃっかり横に並んじゃってるの?」
「悪いかよ」
「いや、別に……このカメラ、花火モードとかないのか……あったあった、ほら、はいチー……」
「博士、カメラのフレームから俺だけ外してないだろうな、後からチェックすっから」
「(チッ……バレたか、勘のいいやつ)撮るぞー」
「ほらなまえ、もっとこっち寄れ」
「ぎゃっ!急に掴まないでくださいよ」
「もっとこっち」
「ぎゅうぎゅう抑えないでください、くるしい」
「(何やってんのこの二人……タイミング失って撮るに撮れないんだけど)」
「なまえと離れて撮ると、博士に俺だけ画面の外にわざと追い出せられかねないからな」
「花火と一緒にとるから人間はそれほどアップじゃないですし、ちょっと離れてるくらいならちゃんと写るんじゃないですか?」
「まぁ、いいじゃねーか」
「なんで真顔なんです」


「……花火って、一瞬で終わっちゃうんですね、職人さんは冬からこの一瞬のために準備をするんですよね。」
「花火がずっと、空に残り続けたら、それは美しいと思うかい?」
「いや、確かにきれいですけど、この美しさとは違うわ……」
「花火は不変じゃないからこそ美しいんだよ」
「さすがおじいちゃんですね」


「あ、アマゴリさんおかえりなさい」
「博士酔っ払ってる……」
「アマゴリさん、博士眠たそうなので、座敷のお布団まで運んであげてください。わたしもう帰らなきゃ」
「アーマードゴリラ、俺はなまえを家まで送ってそのまま布団で花火上げてくるから博士をよろしく頼んだ」
「ゾンビマンさん素面に見えて、下ネタ言うからしてかなり酔っ払ってるみたいなので、やっぱ一人で帰りますね!」
「高校生のうちは手ぇ出さねーよ……」
「恥ずかしいからやめてください」
「あ、あの、博士をお布団に連れて行った後でよかったら、自分がなまえちゃん送るけど……?」
「ありがとうアマゴリさん!」
「(66号さんからの目線が痛いんだけど……めっちゃ睨まれてんだけど……)」






2013/07/28

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