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▼ 歪んだ正義に固執するヒーロー



「アマイマスク、あなたそこまでする?普通。」


「こいつは悪だ。徹底的に潰さないと。」


じゃないと他の『悪』が調子に乗るからな。
そう言って彼は目の前の怪人をぐちゃぐちゃに、文字通り潰していた。
連続で蹴りを打ち込む。相手は明らかにもう息をしていない。それでもだ。それでも依然蹴り続ける。

随分をグロテスクな光景になまえは目を背ける。テレビ向けの華やかさとは違う、言うなら汚らしい正義の姿がそこにはあった。


「アマイマスク、あなたの言う『正義』ってこういう事なの。」


「ああ。この『アマイマスク』こそが『正義』であり、それに相反するものは『悪』だ。例えば怪人とか、ね。」


「そう。」




なんて歪んだ『正義』だろう。
こいつ、アマイマスクの顔は整ってはいるが、『正議論』はこの上なく歪んでいる。醜い、独りよがりな考えで凝り固まっている。


なまえは口を開いた。

「もしも……もしも、わたしが怪人になったとしたらそのときは、あなたはどうするの。」


アマイマスクはこちらを向き、表情は少し驚いた様子だった。
彼の瞳が少し揺らいだ。

しかし、すぐに真っ直ぐになまえを貫くような冷たい視線で見つめ、言い放った。

「そのときは、恋人の君でも容赦しない。正義には犠牲が必要なんだ。」


「そう、わかったわ。」


自分の目の前で、歪んだ正義に固執する子供のようなヒーロー。可哀想な子見るかのような憐れみを含んだ目をなまえは彼に向けていた。


わたしに、この人は救えないのか。






2013/04/29

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