02.偽りの中の本心
それから私はよく涼介さん、香織さんと遊ぶようになった。
2人とも大学で忙しいが合間を縫って私と遊んでくれる。
それがとても嬉しくお似合いの2人を見れるのがとても嬉しかった。


そんなある日のことだった。
突然香織さんから電話がかかってきて「会いたい」と言ってきた。
涼介さんがいないのに珍しいなと思いながらいつも3人で会う場所へと向かった。
「私ね、もうすぐいなくなるかもしれない」
「え?」
何言ってるんだ。でも冗談言う人ではないし…足りない脳で考えているとポロポロと泣き出した香織さん。
慌てて私はハンカチを出した。
「ありがとう。…今から言うこと誰にも言わないで。私と海月ちゃんだけの秘密にしてね」
「はい」
「私、小さい頃から人生が決まっているの。それはずっと仕方ないと思ってた。涼介くんに出会う前は。でも涼介くんに会って一緒に過ごすうちに自分の人生を思うように生きたいって思うようになったの」
「そんな…自分の思うように生きれないなんて苦しいだけじゃないですか…」
「でもそういう人生の人もいるの…覚えておいて。あと海月ちゃんには頼みがあるの」
「頼み?」
「そう。私からの最期の頼みよ」
「最期!?最期なんて言わないでください!」
私は泣きそうになる。だって香織さんの目は本気だったから。
「涼介くんを宜しくね」
そう言って香織さんは私の手をギュッと握った。

それが本当に香織さんとの最期だった。

後日涼介さんに呼び出され告げられたとき、ショックと同時にこうなることを分かっていた自分に情けなくて泣いた。
涼介さんは優しく抱きしめてくれる。
自分のほうが辛いはずなのに…。

「涼介さん、私を利用してください」
ひとしきり泣いた後、身体を離した私は自然と口から出てしまった。
「…それはできない」
涼介さんが断る。そんな態度に何故か腹が立った私は自然と声がでかくなる。
「なんでですか?私が子供だからですか?!」
「違う…お前が大切だからだ。」
「だったら…!私は涼介さんが大好きだからこれ以上悲しむとこなんて見たくない…!」
「海月…」
「少しでいいんです!ほんの少しだけ傍にいさせてください…」
「…いいのか?辛いのは海月だぞ」
「大丈夫です…」
それ以上の言葉は出なかった。
涼介さんは分かっているのかそっと抱きしめてくれた。
それが合図で、私は涼介さんの偽りの恋人となったー。


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bkm
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