小さな変化
「こうして私の世界が変わっていく」番外編

何故、何故私は高橋家にいるんだろう?

それは夏休みもあと3日もないってときだった。

「夏休みの宿題終わんない!」
そう、学生なら誰だって直面する問題。
大量の夏休みの宿題問題!
去年まではイツキと優里でやってたけど今年はイツキとは予定合わないし優里はデート。
それに今年の夏休みはいろいろあったからなぁ。


…しばらくして。
「あぁーー!!この問題解けないよーーっ!!絶対数学なんて社会に行ったら使わないよっ」
私は思わず難しすぎて本音を大声で叫んでしまった。
「うるせーぞ!なまえ!!近所迷惑だろーが」
父さんが下から怒鳴ってきた。
ダメだ。ここだと集中できない…。
私は宿題をまとめるとそれを持って家を出た。

でもどこでやろう…。
うーん、喫茶店?図書館??
どれもしっくりこないなぁ。
私はボーッと歩いていると見覚えのあるFDが私の前で止まった。

「よぅ!そんな辛気くせぇ顔で歩いてどうした?」
「啓介…」
どうしてここに?と言おうとすると指で乗れと合図してきた。
乗ることに若干戸惑ったが人とクルマの邪魔になるので乗ることにした。

「で、どうした?」
「うん…実はね、」
言いかけてどうしようか悩んだ。まさか宿題が終わらないなんて言えない。
しばらく悩んでいると「家出か?」ととんでもないことを言ってきた。
「違う!夏休みの宿題が終わらなくてどこでやろうか外に出て考えてただけ!!」
私はムキになって返し自分がとんでもないことを言ったと思い思わず口を押さえる。
「…呆れたでしょ」
あんぐりしてる啓介に恐る恐る聞く。
「まさか。オレもアニキに教えてもらってるしな。人のこと言えねーよ」
よかったぁ!呆れられなくて。啓介のことだからバカにすると思ったのに。
「じゃあ、そういうことだから」
私がクルマから降りようとすると啓介が腕を掴んで引き止めた。
「待てよ。だったらオレが勉強に最適な場所連れてってやる」
そして冒頭に戻る。

無駄に広いリビングにソファー。
むしろ勉強進まない気がする!

啓介は私を案内するとどっか行っちゃうし、私は帰ることもできずソファーの上で固まっていた。

「…なまえ?」
名前を呼ばれて顔を上げると驚いた顔の高橋さんが。
「た、高橋さん!!」
そうだ、ここは高橋さんの家でもあったんだ。
私は軽くパニックになっていると「落ちついて」と安心する声で言われた。
私は深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
「それでなまえが何故ここにいるんだ?」
「実は…」
これまでの経緯を説明すると高橋さんは「全く啓介のやつ…」と呆れていた。
「で、でも私帰ります」
私がソファーから立とうとすると優しく腕を掴まれた。
啓介といい高橋さんといい手を掴むのが好きなんだろうか?
「よかったらオレが勉強みてやろうか?」
「で、でもこれ以上迷惑かけるわけにもいかないし…」
「誰も迷惑だと思ってない」
「それに…高橋さんにここまでしてもらうわけにもいきません!!」
「相変わらず面白いやつだな。そこまで言うなら後でなまえしかできないことをしてもらおうかな」
「私にしかできないこと…?」
「そうだ。そうと決まれば始めよう」
まぁ…高橋さんなら大丈夫だろう。私は頷き問題集を取り出した。

高橋さんの教え方はとても分かりやすくて問題集もあっという間に解けた。
私は思わず感動してテンションが上がってしまう。

「すごいです!私でもあっという間に解けましたよ!!」
「いや…なまえの力だ。オレはその手助けをしただけさ」
「いえ…!高橋さんのおかげです!!で、何すればいいですか?」
「そうだな…」
高橋さんが急に真面目な顔をして頬を撫でてきた。
そして頬から首筋、私の髪をかきあげると顔を近づけてきた。
するとどこからか咳払いが聞こえてきて声をする方に顔を向けると啓介が立っていた。
「アニキー、それはルール違反だぜ」
「すまない…つい反応が可愛くて」
なんで啓介が突然消えたのか、そして声を殺して笑う高橋さんが分からなかった。
「どうして…」
私が首を傾げると2人は私のほうを向いた。
「なまえ、さっきお前にしかできないことがあるって言ったな」
「はい」
緊張でドキドキする。何言われるのーー?!
「だったらオレを名前で呼んでくれないか?」
「へっ?」
それだけ?でもそんな恐れ多いことできない。
私がオロオロしていると高橋さんに急に顎を持ち上げられた。
「今すぐキスされるのと名前呼ぶのとどちらがいい?」
うわー、心臓が口から出そう…!
「や、やめてください」
「どちらか選ぶまでこのままだぜ」
うぅ…鋭い視線と顎から伝わる手の熱に顔が火照る。
こんな顔、これ以上見せられない。
「…涼介さん、やめてください…」
「聞こえないな」
「りょ…涼介さん、やめてください…」
半分涙目でちょっと声を大きめで言うと涼介さんのビックリした顔と顎を掴む手が緩んだのでバッと離れた。

「私、帰ります!お邪魔しましたっ!!」
私はぺこりと一礼すると荷物をまとめて家を後にした。
後ろから啓介が呼ぶ声が聞こえるが無視だ、無視。

「アニキのあんなビックリした顔、はじめて見たぜ。いいもん見せてくれたなまえに礼言わなきゃな」
そう言って私を追いかける啓介としばらく呆然としていたがやがて余裕の表情に戻った涼介さんが
「ますます堕としがいがありそうだ…」
と呟いていたことなど知る由もなかった。

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零さま
遅くなりましたが31000番を踏んでくださり誠にありがとうございます!
こうして私の世界は変わってくの番外編ということで書かせて頂きました。
気にいらなければ書き直し致しますので言ってください。
亀更新で大変申し訳ありませんが今後ともこのサイトのほう宜しくお願いします!
こちらは零さまのみお持ち帰り自由です。


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