小さな手から抱きしめて
※小さい頃に高橋兄弟に会ってたら

なまえが5歳の頃、実母に連れられて実母の親友の家に遊びに行ったときだった。
「いらっしゃい!」
「久しぶり!お言葉に甘えて遊びに来ちゃった。ほらなまえご挨拶は?」
「こ…こんにちは」
なまえは実母の後ろからひょっこり顔を出して恥ずかしそうに挨拶をした。
「まぁお利口さんね。なまえちゃんも随分可愛らしくなって…!やっぱり女の子はいいわね」
「あら、でも涼介くんと啓介くんがいるじゃない。二人ともいい子でうらやましいわ」
「そんなことないわよ!涼介はしっかりしすぎるし啓介なんてやんちゃすぎるくらい。そうだ、ちょっと待ってて」
実母の親友は2階に上がっていった。
きょとんとしているなまえに実母はニコニコしながら「きっと涼介くん達連れてくるのよ」と優しく頭を撫でた。
そしてしばらくすると親友がなまえより少し年上の子を連れて降りてきた。

「なまえちゃん、紹介するわね。兄の涼介と弟の啓介よ。」
「「こんにちは」」
兄も弟も黒髪で顔も似ていたが雰囲気が正反対だった。兄の涼介は知的で落ち着きがありそうで弟の啓介は活発そうで顔にいくつかキズがあった。
「なまえもご挨拶は?」
「藤原なまえです。よろしくおねがいします」
なまえがゆっくりと母の背中から出てペコリと頭を下げた。
二人の兄弟はなまえを見てポーッとしているようだった。しばらく経って先に動いたのは啓介のほうだった。
「なまえ!オレの部屋におもちゃがたくさんあるんだ!一緒に遊ぼーぜ」
「え…」
不安になり母を見ると母は笑って送り出した。
啓介はなまえの手をとり部屋へと連れていった。
涼介も「失礼します」と頭を下げ、二人の後を追いかけた。
そんな様子を2人の母は微笑ましく見守っていた。

「なまえ、積み木しよーぜ」
「…うん」
なまえが困ったように頷くと涼介が様子に気づいたのか優しく啓介をたしなめた。
「啓介、なまえちゃんの意見も聞いたほうがいいだろ。なまえちゃんは何したい?」
優しい涼介になまえは花が咲いたように笑った。今までの友達は皆、こんな風に聞いてくれなかった。なまえは「クルマ!」と答えると啓介もお気に入りのおもちゃがクルマだったようで3人で仲良く遊んだ。

帰る頃には2人と離れたくなくてなまえは二人に抱きついてわんわん泣いた。
「あらあら、普段は大人しいのによっぽど涼介くん達と遊ぶのが楽しかったのね…」
「なまえちゃん、また遊びにくればいいじゃない。おばさん待ってるから」
「そーだぞ。またクルマで遊ぼうな」
啓介はなまえの頭を不器用に撫でる。
涼介もなまえの涙を指で優しくぬぐった。
「オレもなまえが来るの待ってるからな。また遊ぼう」
なまえはようやく泣き止んで笑顔を見せた。
「うん!ありがとう!涼介にーちゃん、啓介にーちゃん!」
そして母に連れられ高橋邸を後にした。


そして13年後
「なぁ、なまえ遊ぼーぜ」
啓介がなまえの肩に顔をおいて喋りかけてきた。
なまえは顔を払いながら嫌そうにした。
「嫌だよ。啓介すぐ苛めるし」
「昔はあんなに遊ぼうってせがんだくせに?」
「昔は昔!今は今だよ」
「啓介、いい加減にしろ」
「なんだよーアニキだって遊びたいくせに」
「だがなまえの嫌がることはしない。すまないな…」
「いえ…」
涼介が困ったように眉を下げるとなまえは顔を真っ赤にした。
「ちぇっ」
面白くなさそうに顔をしかめる啓介に気付いたなまえは啓介の肩を叩いて振り向いた瞬間に人差し指で頬をつついた。
「このっ…!」
「ひっかかるほうが悪いんだもん!」
二人はおいかけっこを始め出した。
なんだかんだ言って楽しそうだ。
涼介は二人のそんな様子に出会ったばかりのことを思い出した。
「なんだかんだ言って変わらないな…」
見上げた空には満天の星が輝いていた。


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紀さま
遅くなりましたが、9000番踏んでくださりありがとうございます!
ここまで来れたのも皆様の支えがあってこそですね!!
さて、今回のリクエストは「成り変わり主と高橋兄弟が小さい頃に会ってたら」でしたがこんな感じでよろしいでしょうか?
またご意見、ご感想を頂けると嬉しいです。
紀様のみお持ち帰り自由です。
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