甘いケーキは貴方と2人で
今日はバイトも休みで特に用事もなかったのでいきつけの喫茶店に行こうとしていた。
ここのショートケーキと紅茶の組み合わせは絶品なんだよね。
なんて思いながら歩いていると後ろからロータリーエンジンの音がして白いFCが私の前に止まった。
ステッカーがかなり見慣れたものなんですが。
「なまえ?」
クルマから下りてきたのはやっぱり涼介さんだった。
「涼介さん」
「やはりそうか。見慣れた姿が見えたので降りてきたのだが…。なまえ、ここらへんに美味しい紅茶を出す喫茶店があると聞いたんだが知らないか?」
「あ、それならすぐそこに…。私も行くのでよかったら案内しますよ」
「すまない。ではナビシートに乗ってくれ」
涼介さんはスマートにナビシート側のドアを開けてくれる。相変わらず紳士的な彼に私は多分顔を真っ赤にして乗った。

「なまえの家はここから遠いだろう。よくここに来るのか?」
「はい…ここのショートケーキ大好きだから。つい来ちゃうんですよ」
「そうか…お前が美味しいと言うなら楽しみだ」
やがて喫茶店についた。ここは小さいけど駐車場があり、たまたまクルマも止まってなかったので涼介さんはそこに止める。私も一回だけハチロクで来たけど長い時間いすぎて他のクルマが止められなくなるのでやめた。

そして私と涼介さんは中に入る。
「やぁなまえちゃん。いらっしゃい」
マスターがいつもの笑顔で出迎えてくれる。
「マスターこんにちは、いつものやつと紅茶1つください」
「おや、かなりカッコイイ彼氏だね。お兄さんもなまえちゃんを捕まえるとはなかなか見る目があるよ」
マスターがニヤニヤしてる。恥ずかしいっ!
「マスター、違いますよ!とても私なんて相手にしませんよ!」
私は自分でも珍しくワタワタしている。涼介さんだって驚いてるじゃないか。
「はいはい。じゃあいつもの所持ってくから」
マスターが準備している間に私達は窓際のテーブルに向かう。そこは私の指定席だった。
そしてマスターが注文の品を持ってきてくれ私達は無言のまま飲食する。
どうしてここに来たんだろう…?
聞きたいけど聞いたら失礼だし…う〜ん。

「実はここに来てなまえに会ったのは偶然じゃないんだ」
「え?」
「なまえの家に行ったらなまえのお父さんにここだと言われて来てみたんだ。偶然を装えば警戒もされないだろうしな」
私はドキドキした。
涼介さんが家に来てくれたことも…いなくても私に会いに来てくれたことも嬉しい…!
「じゃ、じゃあ今度は私が涼介さんに会いに行きます。そしたら涼介さんのいきつけのカフェとか知りたいです」
「あぁ。大学の近くに美味しいカフェがあるんだ。今度行こう」
「はい!忘れないでくださいね」
「なまえもな」
なんか嬉しくて笑ってしまう。涼介さんも心なしか微笑んでるようにみえた。

「(ところでなんの用事で私に会いに来たんだろう…?)」
「(用事もないのに会いに来たと言ったらどんな反応するかな…)」

それぞれの思いを抱えながらアフタヌーンティータイムはゆっくりと過ぎていった。

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