空蝉
背を向けて寝転ぶユースタス屋を呼んだ。
「ユースタス屋」
ユースタス屋は反応しない。
規則的に聞こえる寝息だけが、ユースタス屋の生存を伝えていた。
「起きろよ、」
無駄にでかい図体を蹴飛ばせば、一瞬息を詰めたがまだ起きる気配はない。神経まで図太いというのだろうか。
なぜだか、気に食わなかった。
「起・き・ろ!」
思い切り蹴飛ばせば、声にならない悲鳴を上げながら、ようやくユースタス屋は目を覚ます。
「おはよう」
満面の笑みで迎えると、極悪人面で「死ね」と言われた。
あぁ、その声と瞳が欲しかったのだ。
END