悪い大人
騒がしい船の上、マルコは煙草を咥えた。
「火ィ、貸してくれィ」
左右のポケットを探してもライターが見つからず、しょうがなく隣のエースに申し出た。案の定エースは嫌そうな顔をしている。
「そんな顔するんじゃねーよい」
エースの言いたいことは十分わかる。
「苦ェキスは嫌だ」
予想通りの返答に苦笑した。
「じゃあすんな」
「それはもっと嫌」
「じゃあ我慢しやがれ」
「………」
ものすごく不服そうな顔で火を貸された。
「サンキュ」
そう言ってキスを寄越したマルコに、エースは
「……苦ェ」
と呟いて顔をしかめた。
お子様をからかうのは実に楽しい。
END