瞬き一つで、
世界が変わる。
Inside,Outside
染め上げられた黒は、いくら水にさらしてもその色を消し去ることは出来ない。では白に染められた黒ならばどうだろうか。
「考えるだけ、無駄かのぅ…」
真っ黒なコーヒーにミルクを入れながら呟いた。
自身の根底にあるものがドス黒い本能なのか、それともただただ白い本能なのか、今のカクには判断が出来なかった。唯一解ることといえば、正しいのはルッチだということだけ。
己にとっての真実は世界や、ましてや政府などではない。今目の前にいる男一人だけなのだ。それを男本人も知っているし、カク自身も自覚している。
「馬鹿のくせになにを悩むことがあんだよ」
人を小馬鹿にしたようなルッチの表情に、カクは心底嫌そうな顔をして
「ルッチに比べたら誰だって馬鹿の部類に入るじゃろう」
そう答えた。
「お前はとんだバカヤロウだ」
それならば馬鹿な自分に代わって、教えてほしい。
「正しいのはルッチじゃ。じゃあ悪いのは?間違ってるのは、黒か白か、どっちのわし?」
賢いルッチは鼻で笑って答える。
「そういう質問をするお前が悪い」
瞬きをした。
黒から白へ、白から黒へ変わる世界で、正しいのはルッチだけだった。
END
Special Thanks!!
Zero Fukunaga
//Vital Signs