※滴様リクエスト「他のニート達に会うオデン」※



「オーバにさ、会わせたい奴がいるんだ」

そう言われてちょっとどきっとしたのは秘密。秘密なんだけども、デンジに俺の知らない知り合いとかなんて、いるんだろうか。(もしかしてよくやってるネットで知り合った奴とかか…?)(もしかして「好きな奴ができたんだ」とか言って捨てられるのか?これがいわゆるNTRってやつか?うあああ考えたくもない)
そうやって俺の髪形のように妄想をどんどん膨らませていくと(こうやって言うとちょっと悲しくなってくる)、余程俺が戦々恐々とした顔をしていたのだろうか、デンジは顔をひきつらせながら、最後には吹き出して笑いだした。

「おい、お前、なんて、顔してんだ。じょ、冗談は髪だけにしろって、はは」

「お、おい!俺がせっかくお前の心配してやってんのに……!」

「心配?……ああ、俺がお前を捨てると思ったわけ?」

「………、…そうだよ。悪いか」

「いーや、悪くない」

げらげらと笑うさっきまでの笑顔とは打って変わって、嬉しそうに笑うデンジの顔から、どうやら俺の心配は杞憂であったようだ。ほっと胸を撫で下ろすと、またそれが表情に出ていたようで笑われた(いい加減このクセを治さなきゃな)。
そして会ったのが久しぶりということもあってか、他愛もない与太話に花を咲かせながら歩いていくと、2つの人影が見えてきた。どうやらデンジが会わせたいと言っていた「奴」のようだ。


「……あれ、…ゲン、だっけか。久しぶりだな!」

「知ってんのお前」

「お前と違って引きこもってないからな。そちらさんは?」

「お久しぶり、オーバくん。ああ、こちらは、」

「ダイゴだよ。よろしく」

ダイゴと名乗った男はいかにも高級そうなスーツに身を包んで、人当たりのよさそうな笑顔を浮かべてこちらに握手を求めてきた。ああ、なんていい好青年なんだろう!デンジの友人にしては人が良すぎる!デンジにこの人のいい部分が1ミリでも、1グラムでも移ったらいいのに!と心の中で感激の涙を流しながら、感慨にふける。
またそんな俺の顔を見たのか、怪訝そうな表情でデンジはこちらを見やってくる。ひょっとして妬いてんのかこいつ?と、さっきの俺へのデレっぷりを思い出してまた口元が緩みそうになったのを今度は自制しつつ、隣にいたゲンも俺に向かって苦笑いを浮かべていたので、どういうことだとダイゴの方を見やる。

「ちなみにシンオウにはどんな石があるんだい?案内してくれないかな!」

「お前がこいつの何に感心したのかは知らねえけど、こいつ、石マニアで現ニートの御曹司だから」

「………そういや、ゲンって何してるんだっけ」

「こうてつじまでルカリオと生活してるよ?二人きりでね」


「……………やっぱ、お前の友達っていうだけあるわ」
「そんな褒めるなよ。照れるだろ」
「照れるなよ。……ああ、お前がやっと外に一歩踏み出したと思って嬉しく思ってたらこれかよ!」
「まあ、逆に言えばずっとお前の近くにいるってわけだ。嬉しく思え。そして一生俺の世話しろよ」

どうやら友人ができたからといって、人はそうそう変わらないようだ。…というか、友人も友人だしな(類は友を呼ぶっていうのはまさにこのことである)。
そしてまた俺は思ったことをそのまま行動にうつして、ゲンの苦笑を貰うのだった。



2011.12.03

企画倒れとなってしまった10000hitのものです。
リクエストしていただき、ありがとうございました!
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