※塩様リクエスト「兎→→→→→→→→→→→←虎」※
※バニデレ注意※
※ちょっとしもいかも※



若者ってこわい。

「すきです、虎徹さん。すきです」

「…わ、わかったから!あんまり名前呼ぶなって!」

耳元で胃もたれするくらいの愛の言葉をかけられて、俺は目元に涙を滲ませた。その呪縛から早く逃れたくて二人掛けのソファーの隅にまで寄り、両手でバニーの顔を俺の耳から引き離そうとするが、手をべろりと舐められ、一気に力が抜ける。いつの間にか距離は元に戻され(あれ、これ逃げ場なくなった?)、指の隙間からはにっこりとほほ笑むバニーの顔。その顔はほのかに桃色。俺の顔は青色。泣きたいよ。

「ふふ。煽ってるんですか?かわいいな」

そう言えばお構いなしにバニーは俺の指からその隙間まで、余すところなくべろべろと舐めてくる。今の心境としてはNEXTを発動させてでも、俺の家を壊してでもこの場から逃げたいが、悲しきかな、俺の手は今やバニーに完全ホールドされてしまっていて動かない。では足は、といえば自由なのだが全くもって動かない。バニーはそれを知ってるからこそやらないのだ。
『逃げたかったらいつでもどうぞ』
そう目で訴えてくるあいつが、うとましい。きっと睨めば、お返しと言わんばかりに指を噛まれた。

「ぁ、痛ッ…」

「ほんとに、おじさんは僕を煽るのが得意ですね…」

やっと手から口を離したと思えば、掴む手はそのままに、力任せにソファーに押し倒された。ぱさ、と音を立てて、俺の帽子が床におちる。今度こそ嬉しそうに笑うバニーの顔が余すところなく見えてしまって、思わず目をそらした。

「だいすきです、」

「……おれは、」

「好きでしょう?好きじゃないなら、逃げてくださいよ」

そう言ったバニーは、俺の手も、俺の上に乗ることもやめて、ただただ笑ってみせた。その自慢気な顔が、やっぱり嫌いだ。でもって、こんな悪態をつきながらも、なんだかんだでバニーちゃんのこと好きな俺は、もっともっと嫌いだ。

「―わかってるくせに、」

降参だと言うかわりに正面を向いてバニーを見て両手を差し出せば、あいつは眼鏡の奥で笑って、また俺に覆いかぶさってくる。これで顔が残念だったら気持ち悪いとでも理由を付けて逃げれるのにな。こんな時にまで、こんな変態みたいな行為に及んでる時までイケメンなあいつが恨めしいよ。

「やっぱり僕はおじさんのこと好きです」

おうおうそうかよ。と呆れ顔で、バニーの頭を撫でてやる。それが俺達の静かな合図。二人だけのサイン。そして、バニーが眼鏡を外せば、それはもう行為の合図。
今日も静かに火蓋は切って落とされた。

(こてつさんのぜんぶがすきです)
(……愛が重い)



2011.07.20

10000hitの感謝をこめて。(あさだ)
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