ふんわりチーク


 あ、いいにおい。そんな変態染みたことが浮かんで、俺の部屋で寛ぐ彼女から目を反らした。

 らしくなく眉間に皺を寄せてしまった。そんな俺に気付く様子もなくこいつは制服のままベッドにうつ伏せに寝転がっている。皺になったらおばさんに怒られるぞ。そう気付いても言わない理由は、白い太股が視界に優しくて痛いからだ。割りと際どい所まで捲れ上がったスカートからのぞく股は柔らかそうで、否応なしに青い思考が頭に流れ込む。一緒に風呂に入っていた頃と違って俺もこいつも色んな意味で成長してまった。

「ゆずきー」
「んー」

 読んでいた雑誌を床に落として彼女の隣に転がる。甘さを孕んで名前を呼んでみても、帰ってくる返答は、含まれるあれこれを何も汲み取ってくれない。いいんだけど、別に。

 体ばっかりでかくなって、中身が追い付いてないのだ。明らかに女性になりつつあるというのに、幼い頃と同じ態度だとかか行動だとかというのはいただけない。思春期真っ盛りの男子高校生にとってこの中途半端な成長は残酷としか言いようがない。

 構って、とばかりに擦り寄って華奢でやわっこい体に腕を回す。顔を埋めてすんすんと鼻を鳴らせば「変態くさい」と笑われた。
 シャンプーとも香水とも違う甘い匂いが鼻を掠める。こいつこんないい匂いだったっけ、なんて思いながら顔を覗けば彼女のジト目とかち合った。頬に乗った淡い桃色とぽってりとした唇の桜色が目を引く。色の違いを問われればなんとなく、強いて言えば表現の違いだ。

 またそんな所だけ成長しやがって。甘い香りの正体はチークとグロスのようだった。あっさりと俺は釣られてしまったらしい。
 甘そうな唇を少しだけ我慢して、可愛い鼻に口付ける。好きなものは最後に取っておく質なのだ。

無垢様よりお題拝借

変わってく幼馴染みにどきまぎしながらも成長が嬉しくて楽しい的な



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