「和成、はいあーん」
「あーん」
今現在、目の前で行われているこれを愚行と言わずなんと言う。
しかも同級生の、片割れはチームメイトでもある。
気にしなければ、という問題ではない。何故ならばそれは俺の席の目の前で行われているからだ。
どうやら俺がおしるこを求めて自販機まで向かった間に、俺の席に集まってきたらしい。
「なんなのだよ」
二人は仮にも恋人同士なのだからまあそんなこともしてみるのだろうが、見てるだけで痛々しい。
「真ちゃんおかえりー、お弁当を食べているのだよー」
「おかえり真ちゃん、お弁当を食べさせているのだよー」
「それは見ればわかるのだよ!」
「真ちゃんも食べたいの?」
「ゆずきの弁当は俺のだからいくら真ちゃんでもダメだよー」
「ごめんね? 和成のだからダメなのー」
「そうじゃない!」
「あ、もしかしてあーんして欲しい?」
「それも俺の特権だからダメー」
「今日の貴様らはなんなのだよ」
元々仲の良い二人であったが、今日はなんというか所謂バカップルというか。頭でも沸いたか。
いつもは仲はいいがむしろサバサバしたような関係で、恋人関係というよりもむしろ友人関係に近いような二人だというのに。やはり、頭がやられたのか。何にだ、暑さにか。
「かず、はい、あー……ぶはっ」
「ちょ、おま、ここまでやっといて吹くなよ」
「ごめ、でももう無理!」
「まあよく耐えた方だ」
「まじ自分痛くて痒かった」
「ぶはっ」
今度はなんなんだ。ていうか、今までのがなんだったんだ。
「だから一体なんなのだよ!」
「「バカップルごっこ」」
俺は目頭を軽く抑えながら半ば諦めた気持ちで、ケタケタと笑い転げる純然たるバカップルに溜め息を溢さずにはいられなかった。
なんやかんや楽しいカップル
でもお馬鹿