両親は共働きで、遅くまで帰ってこないのが当然。そして悲しいことに彼氏いない歴イコール年齢。そんな私だから、クリスマスが嫌いになるのは必然だったというべきだろう。
街を歩けば親子連れやカップルがどこを見ても目に入る。私は一人異様なオーラを放ちつつ、夕食の買い物をするために学校帰りにスーパーへ向かっていた。


「やあそこのお嬢さん、クリスマスは一人寂しく買い物ですかな?」

聞き覚えのある声に、わざとらしく大きなため息をついて振り返る。

「なによパスカル。文句でもある?」
「いやいや、そんな寂しいナマエちゃんに朗報があるんだけどー」

近所に住んでいて、昔から家族ぐるみで付き合いのあるパスカル。彼女は不機嫌な私の肩を抱いて、スーパーとは逆方向へ歩き出した。

「ちょ、ちょっと夕飯の買い物……」
「まーまー、晩御飯ならもう用意してるから気にしない!」





パスカルに連れてこられたのは、共通の友人であるシェリアの家だ。何事かと恐る恐るドアを開けると、いきなりパァンとクラッカーが鳴り、紙吹雪が降ってきた。

「メリー・クリスマス!」

そこにいたのはミニスカサンタのシェリアと、これまた近所に住んでいるトナカイの角のカチューシャをしたソフィ。状況が飲み込めずぽかんと呆気にとられていると、シェリアが私の手を引いて家に招き入れる。

「ほら、ナマエの為に準備したんだから!」
「パーティ、早く始めよう」
「……ていうか事前に言ってくれればいいのに」
「サプライズなんだから言ったら意味ないでしょ?」

急かされて通された居間は、彼女たちによって飾り付けられた電飾やツリーで輝いていた。
そして、まさかパーティに誘われるとは思ってもみなかった私の服装は制服のままだ。なんか逆に浮いてないか、と考えているとソフィが紙袋を手渡してきた。

「ナマエもこれ、着て?」
「あ、うん。わかった……ってなんかシェリアのより布の面積少なくみえるのは気のせいかな」

ミニスカサンタという点ではシェリアとお揃いなのだけれど、彼女のは上着は普通なのだ。それに比べるとこちらはキャミソールに長手袋という、明らかにセクシー路線じゃないか。着替えを渋っていると、パスカルが私の制服の襟を引っ張る。

「ほらつべこべ言わず着替える!」
「うわっ、ちょ、脱がさないでよ! 自分で着るから!」
「女子だけなんだから、恥ずかしがることないでしょー」
「主役は一番目立たないとだめ、なんだよ」


私はクリスマスが嫌いだった。でも、ちょっといいなと思えた。


「さて、このナマエのコスプレ写真を……」
「お願いだから消して!」

――やっぱり前言撤回しようか。

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