2011/07/18 03:02 ★水葬
「司書科一回のアージュでーす、よろしくお願いしまーす!」
友人に新入生歓迎会へ連れて行かれ、俺らは出会った。 そいつは今思うと、周りに元気を振りまく存在だったのかもしれない。しかし俺はその明るさが大層気に入らなかったし、正直鬱陶しかった。あいつの声はでかかったし、俺はいうなれば物静かな方だ。気に入れと言われても不可能だった。 「ちょっとリザルド!聞いてる?」 「うっせえな耳痛えっつうの」 「声がでかいのは元々ですー」 そう文句を言い、アージュは俺の肩に身体を預けた。 最初は鬱陶しがっていた俺も、いつしかアージュの眩しいぐらいの明るさに惹かれていた。気付けば、二人が一緒にいるのは当たり前になっており、友人から「お前らデキてんじゃねーの」と冷やかされた事が何度あったか。俺は当時まだ短かった前髪を掻き上げ、息を浅く吐きだした。 「…ねえ」 「あ?」 「何であんたってそんな変な服ばっかり着るの?」 「は」 「あんたのセンスってどうかしてるよねー。何て言うか奇抜」 「その口縫い付けてやろうか」 「いやーんリザルドくんのいじわるー」 「テメェふざけてるとマジで縫い付けるぞ」 面白がるように悲鳴を上げたので、もたれられていたのも構わずアージュを無理やりこちらに向かせ、両頬を思い切りつねってやった。 「ひゃあああいひゃいよいひゃい」 「悪いのはこの口か?え?」 「ほへんっへばははひへよー」 つねられている事で出る変な言葉に吹きそうになりながら、しばらく遊んでやった。
ずっと続けばいいと思う瞬間こそ、一瞬で崩れ去る。 自分たちのさだめなどしらずに。
(マリアは永遠のゆめをみる)
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