2012/05/27 04:14
★最終更新日に絶望した
アナタとワタシ フタリでヒトリ ?
彼は知らない。ヒトではない彼が運命共同体だと。
彼は知らない。蝉の割に長くしぶとく息をし続ける蟲が己の母体だと。
運命はされど彼と彼を惹き合わせた。
共に羽音を立て、細い体躯を寄せ合う。乾いた音が、湿り気を抱く。
災いとなる唇からは罵りの贈物、その贈物を飲み込み返すは軽い暴行。
穏やかではなれど、思考は甘く辛く痺れた。
魂と羽音が共鳴し、心の臓もまた共鳴する。
されどいずれかは共鳴しなくなる。不協和音を鳴らし鼓膜を破るであろう。
歪んだ音を立て、いずれ乱す。
そうなる前に、沈めてしまえばどれほど楽であろうか。
彼らはまた、暗く湿った場所で共鳴し合う。
白い躯をいっそ壊してしまえばいいのに、また重ねるのだ。
(羽音)
++++++
ゆがひず