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赦されるならば



 

アニメ一期の最終話で思い付いたネタ
蘭丸の反省大会←




すべて
全て失って

後に残されたのは
罪の意識のみ


こんな状態で生き延びていて

こんな俺が赦されることは
あるのだろうか



◆◆◆



 ――さわさわ。風が靡いている。
 一体、ここが何処なのすら解らない。無我夢中で何かを振り払うように逃げてきた。
 耳に残るは、光秀の最期の叫び声と奥州の竜の右目、片倉小十郎の怒鳴り声。


『何処にでもいけ!!』


 小十郎が発した言葉が頭の中に響く。


――俺。
全部、失ったのか……。


 頭の隅で織田軍、魔王の子……森蘭丸はそんなことを思った。
     .
 いや、元というべきか。
 何せ、織田軍を仕切っていた織田信長は、奥州の竜、伊達政宗と甲斐の若虎、真田幸村の二人の手によって倒されたのだから。
 伊達、武田、上杉、徳川、浅井。その他にも、日輪の申し子、毛利や四国の鬼、長宗我部、更にはあの前田家までもが加わっていたと風の噂で聞いた。

 今、残っている軍すべてが結集し、織田軍を倒したのだ。
 もう、「元」という形にはなったものの、自分は織田軍の重臣だった。そんな己が戻れる場所など、ない。
 片倉小十郎は、どこかの軍に下ればよいと言った。

 しかし、こんな己を置いてくれる軍などあるのだろうか。答えは否だ。
 『魔王の子』 そんな異名を持つ己が行ける場所などない。有るわけがないのだ。 例え、どこかに志願したとしても『魔王の子』であった以上、危険分子として葬られることは確実に違いない。


「今までの…ツケかな」


 ギュッと右手に持っている小袋を握り締める。蘭丸の大事な…大事な小袋。
 信長が褒美をくれる度、大切にその中へしまっていた。
 だけど、よくよく考えてみれば、それは沢山の命を奪った証だった。
 信長や濃姫や光秀…彼らと戦場に出ている時は、人の命など考えたことはなかった。むしろ、虫螻。そんな扱いだったのだ。
 今思えば、何て酷いものだったのだろう。何て愚かな考えだったのだろう。
 こういう風になって、やっと気がついた。


「今更気がついたって遅いのに…」


 蘭丸の頬に一筋の涙が伝った。
 今更悔いたって、今更嘆いたって、今更赦して欲しいだなんて、浅はかすぎる。
 それだけ、己のしてきたことは罪深いのだ。


(……このまま朽ちてしまえれれば、どんなに楽だろう…。…って言っても、もうここから動くことなんて一歩も出来ないんだけどさ……)


 このまま、誰かに見つけられて、殺されたっていいな…、と蘭丸は思った。
 今まで散々所業を重ねてきたのだ。殺されて、相手の怒りや憎しみが収まるのならそれでもいいと思う。
 むしろ、そうして欲しかった。

 身体はもう疲れ果てて、その場からは動けそうにもないのだ。
 蘭丸はあの場から逃げてから、一度も何も口にしていなかった。
 このままいれば、蘭丸の衰弱は著しくなることは確実。
 生きたまま、衰弱仕切った身体を烏に啄まれ喰われていくのがオチであろう。


(だったらせめて――…誰かの手に掛かって……)


 武人として不名誉な死に方だろうが、何だろうが構わなかった。
 今すぐこの場から、この世から消えてしまいたかった。
 コロリと蘭丸の右手から握っていた小袋が落ち、中身がバラける。
 蘭丸自身、何を入れていたのかすら、忘れてしまっていたが、それは何かの種のようであった。


(――種…?)


 夢現なまま、小袋から零れ落ちたものを蘭丸はじっと見ていると、ふと、人の足音と気配がした。
 身体はもう力が入らないので、ゆっくりと目だけを動かしてその来客を見た。
 それは蘭丸と同じくらいか、下か…というくらいの白い肌をした女の子だった。格好を見る限り、農民の子だろうか?


……それもどうでもいいことか。
お願いだから、早く――。


 蘭丸がそんなことを考えていると、彼女は零れ落ちていた種をひょいと拾い上げた。


「…これ、稲だべな」


 独特の訛り口調。そして、彼女は種を蘭丸の前に差し出し言った。


「これ、お前のだか?」





いつきちゃん登場で力尽きた←
ついで、蘭丸が持っていた袋は信長様から貰ったやつじゃなくて、小十郎が投げ渡したやつだったと途中で気が付いた(書き直せよ)
この先はいつきちゃんと一緒に暮らし始めるようになって数年後経ち、ポツポツといつきちゃんに向かって懺悔をし始める……みたいな展開にしたい。もちろんいつきちゃんと蘭丸は夫婦設定で。
確か、命の大切さとかなんとかを考える題材にしたかったはず。
ちょっと長めのネタになりそう…かな?


 





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