notitle “哀れ” 最期に死に逝く様を見つめながら、甲賀方の忍…如月左衛門はそう思った。 相手の忍の腕を切り落とし、胸を刺した。 もう、勝負は決まっている。 ……なのに、だ。 どうしてこうも胸がざわつくのだろうか、と左衛門は思っていた。 「夜叉…丸殿、や…しゃ丸……殿」 女はない腕を懸命に目の前に伸ばしながら、先に逝った恋人の名前を呟いている。 今の彼女の目の前には“夜叉丸”の姿が見えているのだろう。 しかし、その彼女の愛しの者を葬ったのは直接ではないにしろ己なのだ。 左衛門は何とも言えない複雑な気持ちに襲われていた。 だが、そんなことは言っていられないのも事実で。 殺らなければ、此方が殺られる。これは甲賀と伊賀の命を賭した闘い。 まず、忍にはそんな感情など無用なのだ。 あれば任務遂行の邪魔になるだけにしかならない。 だから、こんなことを思っては駄目なのだと。 尚且つ、伊賀の忍は左衛門の妹…お胡夷を殺した敵でもあるのだ。 まさかのバジリスクであるとかね! しかも、確実にマイナーもいいところです。お兄ちゃんと蛍火とか。 アニメ見た際に、がっつりハマってしまった結果がこの残骸という← あの蛍火の最期のシーンで妄想が一気に跳ね上がったとかね。 書き上げるにしてもアニメを見直さないともう書ける気がしない……。 |