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久々に愉快な気分

殺してやりたい
そう心から思う奴が出来た

お前が幾ら逃げようとも
俺はお前を追いかけるぜ?

だから、覚悟しな。



◆◆◆


「ユゥーリ・ロォーウェルゥウウッッッ!!」

 巻き舌気味の発音。その声が高らかに空へと響き渡る。
 その先には、嬉々として武器を構えているザギと、うんざりしたユーリの姿。

「……またお前か」

 気だるいユーリの返事。溜め息を吐く。

「まぁ、またあなたですか」
「ユーリ、ストーカーでもされてんじゃないの?」
「元気よねー、毎度追っかけてくるなんて」
「青年、ご愁傷様」
「本当ね」

 ユーリの後ろの方にいた仲間達は次々と思い思いの言葉を吐いた。特に自分達には被害はないので尚更他人事のように。
 一緒に旅をしているのだから、もう少しユーリに気をかけてあげようよ、と言いたい。

「ユーリ、俺様と戦え…」

 うんざりしているユーリと、ザギの出現に慣れた仲間達にはお構いなしに、ザギは武器を再度構え直し、ユーリへと矛先を向ける。

「嫌だ」

 キッパリと拒絶をするユーリ。
 それもそうだろう。
 ここ最近、ザギはずっとユーリを追いかけてはユーリに勝負を仕掛けていた。その度にユーリはザギと戦い、勝利を収めていた。
 フルボッコまでとはいかないが、だいたいユーリの圧勝にて終わっている。たまに危険な時もあったが。
 そして、ザギはザギで負ける度に「次こそは…」的なセリフを吐き、帰っていくのだ。
 それが、毎日とまではいかないにしろ、三日に一戦。その位の頻度。
 ユーリがうんざりし、仲間達が慣れてしまうのも分かる。

「お前と戦う度に、少しずつとはいえ、貴重な道具とかグミとかがなくなっていくんだよ。これ以上、相手なんかしてられるか! だいたい、出現率高すぎだろお前!!」

「そんなこと知ったことか。ユーリ、俺様と戦え!!」

 人の話を聞かないというか、何というか。
 ザギはお構いなしに再度ユーリに言い放った。
 嫌でも『戦う』という選択肢しか取らせない気のようである。

「……」

 はぁ、と小さな溜め息。
 仲間は仲間で「早く終わんないかなー」といった感じ。
 ユーリは軽く頭を抱えながらも、腰に携えた剣を手に取った。

「……分かった。戦う」

 その姿を見たザギは、ニヤリと口の端を吊り上げる。
 それはそれは楽しそうに。

「……楽しく殺り合おうぜぇ、ユーリ・ローウェル」

 こうして、既に日常と化したザギとユーリの戦闘が始まったのであった。




だって、楽しいんだ。





(09/07/19)


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