ハリポタ/7巻読んだ後の衝動書き突発SS 憎かった ずっと 憎くてたまらなかった 貴方も僕が憎くてたまらない そうに違いないと思ってた けれども それはただの憶測でしかなくて ◆◆◆ 静寂に包まれた部屋。 スネイプの最期に渡された銀色の物質である彼の記憶。 ハリーは、それによってすべての真実を知った。憂いの篩によってすべてを見たハリーは、身体の中から何か喪失していく感じがした。 そして、そこから抜け出た後、ただ呆然とその場に横たわっていた。 「嘘…だろ……?」 小さな呟きがハリーの口から自然と零れ落ちる。 あの彼が。 スネイプが。 ぐるぐると頭の中で溢れんばかりの感情が交差する。 ずっとずっと、憎いんだと思っていた。 そして、ハリー自身も憎くて仕方がないほどだった。スネイプは初めからハリーに対し、キツかったし、嫌っているのがひしひし伝わった。 それに、自分達を裏切って、ダンブルドアを殺して、ヴォルデモートに付き従う死喰い人の筈であったのに。 すべてにおいて裏切られた気持ちだった。 「……スネイプ」 ふと、彼の最期を思い出す。 哀れにも、ヴォルデモートによって、ナギニに喰い殺された。苦しそうに息を漏らしながらも、ハリーのローブを掴み、「これを取れ」と言って記憶を渡した。 そして、最後に合わせた瞳と囁いた言葉。 “僕を……見て……くれ……” ハリーは胸が痛くなった。 自分を憎んでいたと思っていた人は、本当は憎んでいた訳じゃなく。むしろ、自分を守ろうとしていた訳で。 はらり、とハリーの頬に涙が伝う。知りたかったと思う気持ちと、知りたくなかったと思う気持ち。 矛盾した思いが、駆け巡る。 「どうして……だよ」 次々に涙が溢れていく。 「どうして……っ!!」 今まで憎いと思っていた気持ちがポロポロと剥がれ落ちていった。 謝りたい衝動に駆られる。だけども、もう。彼はもう、戻ってはこないのだから。 目の前で殺されて、死に逝く様をこの目で見届けた。 ちゃんと教えて欲しかった。そうしたら、こんな結末にはならなかったかもしれない。 だけども、それは無謀な話だとは分かっている。 彼が秘密にしておいたからこそ、自分は今の今まで生きていて、ヴォルデモートを討つ手段を得ていることも。 声にならない嗚咽が止めどなく漏れた。大声をあげて泣きたい気分だった。 「…っく、ぅ…」 悔しくて堪らない。 何か心にぽっかり穴が開いた気がした。 時は既に遅くて 真実は時に残酷さを告げる。 (09/06/24) |