ガルポスは暑かった。
もうすんごい暑い。日焼けが嫌。陽光が痛い。

しばらく木陰で沈黙し、近場の店でフルーツジュースを購入。
あまりの美味しさに、一瞬我を忘れた。
ものすごいフレッシュだ。流石は常夏のガルポス。凄すぎる。

機嫌よく街を歩き回っていたら、突然二匹の犬に吠えられた。
地獄の釜でも開けたような吠え方だ。
思わず悲鳴をあげて仰け反ってしまう…けど、向こうも怯えていた。

なんでだろう。何故か動物に嫌われるんだよね、私。

にらみ合いの均衡状態を打ち破ったのは、赤い目の奇麗な男の子だ。
犬たちを友達のようにあしらい、私をたしなめてくる。
彼らは番犬らしい。
私が果樹園に入ったから吠えた、という単純な話だった。面目ない。

気になったのは、男の子が私を見て怯えている、という点だ。
何故怯える。君は人間だろう。犬のような反応はやめてほしい。
ちなみに犬みたいだ、と言うとマジギレされた。

彼らに果樹園から叩き出される。
ガルポスを一通り見た後、テノス行きの船が出ると伝えられた。

テノスかあ。雪が降るっていう国だよね。
常夏から常冬はハードルが高い気もしたが、細かいことは言いっこナシだ。
私は船に乗り込み、見送ってくれた三匹の犬に手を振った。
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