真新しい大聖堂は圧巻だった。 かつて弾圧されたという教団も、大聖堂を中心に頑張っているらしい。 質素ながらも活気ある商店街をひやかすのは実に楽しかった。 けれど。 ちょっと気を抜きすぎたらしく、なんとスリに財布を奪われてしまった! なんたること。私の全財産が! と、思っていたら。 なんと路地から飛び出した謎の女の子が、スリをボッコボコに倒してしまったのだ。 彼女曰く、こないなことしたらアカンでー、らしい。 妙な喋り方をする女の子だ。身長は同じくらいだけど、一応年上だろう。 彼女は私に、財布を返す代わりに何かを奢れと要求してきた。 ちょっとムッとしたが、まあお礼程度にならば奢ってもいいだろう。 適当においしそうなリンゴを渡すと、ものすごく喜ばれた。 そしてついでに気に入られてしまったらしく、現在彼女が厄介になっているというご老人の家へと案内された。 ご老人は物腰柔らかい善人だったけど…子どもの数が、多い。 なんだここ。孤児院か?孤児院なのか? ご老人のご馳走に舌鼓を打ちながら、次の目的地について話してみる。 聞けば、ガラム行きの船が翌朝出るようだ。 善は急げ。 私は恩人の女の子とその小さな友達、ご老人と楽しい一晩を過ごし、ガラム行きの船へと乗り込んだ。 |