ずるずるって


はい、みなさんこんにちは。
上司の無茶振りにもお応えしようと頑張るユノさんです。

ガイを先頭にして階段を駆け下りてくる一行を発見しました。
とりあえず魔物をけしかけて足止め中です。
どのくらい妨害すればいいかは知らされていませんけれど、
妨害しろってくらいですし殺しちゃだめなんですよね?

絶好の暗殺ポイントに立ってるんですけどね。私。

いえ、わかってはいるんです。
あの場所でルークに何かをするのに、私が邪魔なんだってことは。
まさかあの短期間で彼らに懐柔されたとでも思ってるんですかね?
甘いですね、ヴァン。ちょろ甘です。

仕事と命令に逆らうのは面倒臭いですから。
逆らってまで主張したいこととか、私にはありませんから。
流れには逆らいません。
これ以上なく扱いやすい女ですよ。私は。

なので、あのクソガキの命令にも従ってあげましょう。
銃ではバレるでしょうから、譜術で。

足止め向きとなると、そうですねー。
やっぱり雰囲気的に闇がいいですよね。こう、ずるずるって感じの。
てい。
技名を叫びたいところですが、声でバレては本末転倒です。

「きゃ、わわあああああぎゃあああああぁ!?」

アニスの凄まじい悲鳴が響きます。
私が発動したのは"プラークマゴッツ"。
地面から手がぞわーと来てずるずる引きずりこむ感じの術です。
この場所にぴったりじゃないですか?
ティアなんか真っ青で泡吹きかけてます。ぷぷぷ。

アニスに触れないガイが、トクナガの腕を必死に引っ張っています。
ジェイドは目もくれずにポルターガイストと戦闘中です。
カオス状態ですね。最高です。

「大丈夫ですか、アニース?」
「大佐ぁ!ひどいですよぅ!冥界に連れてかれるとこだったんですよ!?」
「それはひどいですねえ。薄情な方がいたものです」

……あれ。
おかしいですね。あんなに下の方にいるのに。
ジェイドの光る眼鏡が、こちらを向いている気が、しますね…?

「裏切り者には、お仕置きです」

あれ?あれッ?
何で私の周りに、譜陣ができてるんですか?
あれっ?

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