とんでもなく物騒な


港はひどい有様でした。
兵と魔物の血、血、肉。船も全滅です。
目的は言うまでもなくルーク達の足止めでしょう。

波止場には魔物を指揮するアリエッタの姿がありました。
おなじみのライガが、逃げまとう船員を追い掛け回しています。
状況的に、守ったほうが良いでしょう。

長杖を肩に担ぎ、ライガのわき腹あたりに標準を定めます。
頭部を吹っ飛ばしたら死にますからね。
死なない程度に、抉っておくと致しましょう。

貫通力を棄て、爆発力に特化した銃弾を撃ち込みます。
狙い通りライガのわき腹に直撃し、柔らかい肉を抉って四散させました。
ナイスショットです。

「っ…ユノ!総長…っ!?」
「アリエッタ!これは一体どういうことだ!?」

ヴァンの鋭い声に、アリエッタの肩がびくりと震えます。
落ち着き無く視線を迷わせる彼女に、問答はすぐ終わりそうだと思った時。
どうもタイミングの良すぎる人たちがいらっしゃいました。

「根暗ッタ!どうしてこんなことするの!」

とはアニスの台詞です。
申し訳ありません。ちょっと吹きました。
私、アニスは苦手ですがアニスの言語センスは大好きです。
無論アリエッタはヒステリックに叫んで否定しますが、
彼女が根暗であるのは事実ではないでしょうか。

視線と目標を変えたアリエッタに、再びヴァンの声がかけられます。

「総長…ごめんなさい。アッシュに頼まれて…」
「アッシュだと?」

ヴァンの表情が苦々しいものに変わります。
それを好機と見たか、アリエッタは俊敏に行動を再開させました。
ぐったりとした船員と共に、魔物で上空へ舞い上がります。

「船の整備士さんは、アリエッタが連れていきます」

条件でも出すつもりでしょうか、面倒ですね。
あの魔物、殺しましょうか。運がよければ整備士さんも助かるでしょう。
銃口を魔物に向けると、ヴァンの手に阻まれました。
…どうも目的が読めないですね。何がしたいんでしょうか?

「返してほしければ、ルークとイオン様がコーラル城へ来い、です!
 でないとこの人は…アリエッタが、殺します!」

とんでもなく物騒な捨て台詞でした。
さて。私は、どうしますかね。

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