とっても楽なこと


「彼らとの旅はどうだったのだ?ユノ」

ざっくりと説明しましょう。
あの後ルークたちはヴァンの手配した宿で休息をとることとなり、
ヴァンの用意した旅券で国境を越えることとなりました。

手回しがよろしくて、結構です。

そしてヴァンはカイツール軍港でケセドニアまでの船を確保するとかで。
私を伴い、ルーク達より先行することとなりました。

ジェイドの反応はこうです。
『いやあ、全然構いません。彼女に人質価値がないのは分かってましたから』
『戦力的にもアニスが加わり、全く問題ありません』
『むしろ連れ帰ってくださり、感謝の限りですよ』
ここまで喜ばれるなんて、私も嬉しくて、

「泣いてしまいそうです」
「ん?」

失礼。最後だけ声に出てしまったようです。

「名残惜しいわけではないですよ。楽しい旅でもありませんでしたし」
「そうか。…まあ、そうだろうな」

こう話していると、普通に気の良い上司に思えますけれど。
何か企んでいるのは明白です。
六神将によりイオンくん奪還作戦に彼が携わっていたのは確かなのに、
それをティア達に隠していることから容易に推測できます。

それに、アッシュ。
彼の行動は、ヴァンの命令によって制限されている。

何より憎いルークの殺害を、一時的とはいえ断念するほどに。

…いえ。
これ以上私が考えることではありませんね。
考えたくもありません。
興味ないですから。
今さらですが、"興味ない"で片付けるのは、とっても楽なことですね。

休息が必要なイオンくんがいないこともあり、
私とヴァンの旅路は一日にも満たない短い期間で終了しました。

視界に捕らえた軍港は。
真っ赤に燃えて、魔物が飛び交う地獄絵図でした。

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