どうだっていい


私がここにいるのは、ヴァンにとって予想外だったのでしょう。

ティアが落ち着いて、話を聞く気になるまで部下と共に宿屋で待つ。
そう言って、ヴァンはいとも簡単に私を人質状態から解放してくれました。

しかし、穏やかな雰囲気ではありませんね。

「お前がここにいるとは、予想外だったな」
「ええ。私も想定してませんでした」

彼は、私を邪魔に思っているようですね。

導師イオンがレプリカ計画に気づいた私を殺そうとした、という話。
確かずっと以前に記述したことと思います。
その計画の全ての主犯格が、彼なのです。

直属の部下でもなく、目的を知っている人間。
邪魔と思わずして、なんと思いましょう。

「話していませんよ。何も」

話すつもりもありません。
そもそも、現在の彼が何を企んでいるのか、知りませんから。

「私は全てに興味を持っていません」
「…信用すると思うか?」
「ならば、言い方を変えましょうか。ヴァン謡将」

宿屋の前で立ち止まり、ヴァンの顔を見上げます。
彼の顔に表情はありません。
きっと私の顔にも、表情はなかったでしょう。

「私は、全てに興味を"持てません"」

だからどうだっていいんです。
やってきたティアやイオンくんたちに、嘘で固めた説明をしていても。
知らなかった、だの関係ない、だのと虫の良い説明をしていても。

さり気なく六神将や豚に罪を擦り付けていても。

私にとっては、どうだっていいんです。

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