どちらかというと


「なあ、ユノ。さっきはああ言ったが、」

現在の戦闘メンバーはガイ、ティア、ジェイド、私になります。
前衛が少ないので、必然的に私が中衛を務めることとなっていました。
粗方片付いた頃、相変わらず1.5mの距離を以って、ガイが声をかけてきました。

「君がルークを殺そうとしたら。俺は君を殺すと思うぜ」
「はあ。そうですか」
「…意外と動揺しないんだな?」

いえ。今の、結構カッコイイシリアスなシーンだったんでしょうけど。
私、こういう風にしか受け取れませんでした。

「…ルーク限定ってことは、やっぱり貴方同性愛者なんですか?」
「ひどい誤解はやめてくれっっ!!!」

誤解されたくないなら、紛らわしい言い方やめてくれませんかね。

*

彼らにとっては、二度目の状況になるんでしょうか。

長かった川横断がやっと終了すると思った矢先に、襲撃者です。
巨大なライガ。小柄な少女。
アリエッタと、その仲間。どうやら待ち構えていたようです。

「逃がしません…っ!」

彼女が出せる最高レベルの大声でしょう。
アリエッタはぬいぐるみに顔を伏せていますが、その瞳は明らかに
憎悪に燃えています。矛先は、どうやらルークやジェイドのようです。

「アリエッタ、見逃してください」
イオンくんが説得しますが、耳を貸すつもりはない様子ですね。
ママの仇。そう言って譲りません。
ライガクイーンを殺すとは、随分な度胸ですね。彼ら。

「ユノ、どうしてこいつらと一緒なの?
 髪の毛まで切られてて…ひどい。いじめられてるの?」

いえ。どちらかというと私がいじめてます。

「今、アリエッタが助けてあげるから――――!!」

アリエッタがぬいぐるみを掲げ、譜術を構築し。
ライガが咆哮をあげた、その直後のことです。

突然の地鳴りと、大きな振動。
その場にいた全員が体制を崩したと同時に、割れた地面から瘴気が噴出します。
私達の位置は、それほど強くありませんでしたが。
アリエッタの位置は、直撃です。
彼女と、その連れは意識を失ったようで、その場に倒れ伏しました。

イオンくんが駆け寄ろうとしますが、そんな余裕はありません。
瘴気の勢いは強まるばかりです。
気付けば退路すら残されていませんでした。

「どうすんだよ、逃げらんねえぞ!?」
「…下がって。」

ルークを制し、軽く息を吸うティア。
彼女の喉が紡ぐ旋律は、ひどく美しく、繊細なものでした。

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