落下したら


作戦を聞いてしまった以上、携わるしかありませんよね。
どうやらこの襲撃作戦、ディストは不参加らしいのですが、
つい先程上司部下の関係を書類だけのものに制限することに成功したので。

「よろしくおねがいします、アッシュ師団長」
「………」

すっげー睨まれました。
いいじゃないですか別に。くっついてるだけですよ。
「仕事しませんから、安心してください」
「黙れ」

本日はいつにも増して機嫌が悪い様子です。
導師の誘拐なんて一大仕事だと思いますけどね?何が不満なんでしょう。
私の場合は一大仕事であることが不満なんですけど。

*

セントビナー付近の街道が目標ポイントだそうです。
アリエッタの魔物達で飛行する者、小型陸艦で追尾する者、様々です。
私は前者ですね。
ディストの改造によって長杖による飛行ができるようですが、
慣れない操作で失敗して落下したら笑えませんから。
…いいえ。笑われますから。

現在地点の、直線距離で目測50m先。
マルクトの紋章が刻まれた大型の戦艦が、悠々と進んでいます。

「導師は殺しちゃ駄目だよ」

ずっと前にいるシンクの声は、どこか上ずっています。
楽しんでいる様子ですね。アッシュとは対照的に。

「他の奴は、皆殺しだ」


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